フランス ロックダウン緩和 商店、美術館再開もスキーはお預け

2020.11.27

フランスロックダウン緩和、商店再開、スキーはお預け

11月27日(金)、10月末からの2度目のロックダウンによる行動制限が明日28日より緩和されます。カステックス首相(Jean Castex)が昨日26日に発表した詳細によると、全ての商店および美術館、映画館、劇場などの再開も許可されます。一方、クリスマス休暇を前に期待されたスキー場の再開は実質見送られました。また、緩和と当時に再導入された夜間外出禁止により、各方面で営業時間変更などの影響が出そうです。

 

一般市民への「目玉」、行動範囲拡大で1km以内が20kmに

今回のロックダウンによる行動制限は、前回同様「自宅から1km以内、1時間以内」でしたが、28日より「自宅から20km以内、3時間以内」の外出が可能になります。

 

全ての商店が21時まで営業可、クリスマスまで日曜営業も可

ロックダウンで閉店を余儀なくされていた「生活必需品」以外の全ての商店が、明日28日(土)より再開されます。営業時間も21時までとなり、緩和と同時に導入される夜間外出禁止(21時〜7時)の開始時間まで許可されます。

商店の再開にあたり、店内で顧客一人当たり8平米のソーシャルディスタンスを保つこと、広さ400平米以上の店では入店者の数をコントロールする従業員の配置またはシステムの導入が必須となります。

多くの商店ではクリスマス商戦が年間売り上げの50%以上を占めることから、多方面からの政府への圧力により、前回の発表で提示された12月2日の再開予定が前倒しされた形となりました。

不動産屋、自動車教習所も

「接客を伴う業務、対人営業」として禁止されていた、不動産業の「物件の下見」および自動車教習所での「技能講習」も再開を許可されました。

 

教会、モスクの礼拝まずは30人まで

礼拝堂などでのクラスター発生を理由に、宗教関係の集会も禁止されていました。これに対し、カトリック教会関係者や信者達はフランス各地でデモを行い、パリのサンシュルピス教会(Eglise Saint-Sulpice)前では、今月22日に神父が屋外ミサを行い問題になっていました。

政府はまず30人までの礼拝を許可し、クリスマスが間近に迫る12月15日の感染状況を見て、更なる緩和を行うか否か判断すると発表しました。

 

スポーツ、屋外なら可も、団体競技は来年まで不可

18歳未満の子供のスポーツは、団体競技も含め屋内外とも認められました。

大人は「屋外」で行うことを条件に、ゴルフ、テニス、陸上など個人競技の再開が28日より可能になります。一方、サッカー、ラグビーなどの団体競技は、少なくとも来年1月20日まで引き続き禁止されます。

音楽院再開も、歌はダメ

フランスには地方音楽院、国立音楽院等、義務教育とは別に子供の音楽教育を行う専門学校があります。これらの学校も12月15日より再開されます。

ただし、飛沫による感染リスクが高いことを理由に「声楽」だけは許可されませんでした。

 

映画館、劇場、ルーブルなど美術館も再開

12月15日から再開が許可されたことから、平時には1日5万人が入場していたルーブル美術館も1万人までの制限付きで12月16日から再開します。とはいえ外国人観光客がほぼいなくなったパリでは、美術館に人が殺到することもなさそうです。

同日から、映画館、劇場も座席の間隔を空けるなどの厳しい規制の元、再開が許可されています。ただし、夜21時からの外出禁止に合わせるため、ロックダウンの前と同様に演目の開始時間の前倒しなどの調整を余儀無くされます。

 

スキー場、《開けていいけどリフトはダメ》とはどういうこと?

カステックス首相は昨日の記者会見で「フランスの素晴らしい山々で新鮮な空気を吸いに行ってください」と言うものの「リフトなどの施設の稼働は不可」と発表しています。

リフトが稼働しなければ、実質スキー客の獲得は不可能になります。

クリスマス休暇の集客が絶望的になった業界関係者は、「屋外スポーツでリスクが低い」ことや、「ソーシャルディスタンスを守るための投資を余儀なくされた」にも関わらず許可されなかったことに「落胆」や「怒り」を表明していますが、スキー場のリフトを待つ人の行列による感染拡大が警戒され、全面的な再開許可には至りませんでした。

 

《スキーをやるならスイスで》が欧州内で問題に

一部のメディアやSNS上では「クリスマス休暇にスキーをしたければスイスに行くしかない」と、スキー場の運営に制限をかけていない国が注目されていますが、例年大混雑となるクリスマス休暇時期のスキー場は、フランスのみならず欧州他国でも問題視されています。

ドイツのメルケル首相やイタリアのコンテ首相も、スキー場のリフト周辺の混雑が感染拡大に拍車をかけるとして「欧州内で足並みを揃えて閉鎖」を訴えていますが、「世界的なスキーのメッカ」であるスイスやオーストリアは「聞く耳持たず」の状態が続いています。

執筆:マダム・カトウ

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