6月23日(火)、3月中旬に突如始まったロックダウンから約3ヶ月にわたり閉館していたパリのオルセー美術館(Musée D’orsay)が本日再開しました。また、昨日22日より映画館、劇場も新しい衛生管理基準下で再開しています。
《印象派を独り占めするなら、今がチャンス ! 》、オルセー館長
本日9時半、パリ左岸のランドマークの一つオルセー美術館では、ロックダウン後最初の入場者を迎えました。
館長のローランス・デ・カール(Laurence des Cars)氏によると、閉館はしていたものの、入場者が不在だったこの3ヶ月間、絵画や美術品の入念なスス落としや展示の入れ替えを行なっていたそうです。
同氏はテレビのインタビューに答え、「美術館はアートを保管するだけの場所でなく、共有する場ですから、館員と共に再開を待ち望んでいました」と語っています。また入場制限により館内の混雑を防げるため「今なら素晴らしい絵画をじっくり鑑賞できます」と、多くの来館者を期待しています。
とはいえ、入場者の多くを占める海外からの観光客不在により、フランスの美術館にとって再開後も苦しい経済状況が続きます。それに関して館長は「政府の文化への多大なる援助を期待している」と述べています。
人数制限のためオンライン予約制に
再開後は館内に一度に入る人数を制限するため、入場は全て事前予約制となっており、日付と時間帯を指定する必要があります。
また、入場者はマスクの着用が義務づけられるため、忘れた場合は入場できなくなります。
オルセー美術館の予約サイト(英語)はこちら
映画館、劇場再開
昨日22日より映画館および劇場が再開しています。
これに向け政府が作成した新しい衛生管理基準では、観客と観客の間に1席空けること(ただし家族や友人などの同グループは隣同士可)、館内の消毒を行うこと、また映画上映開始時間や終了時間が重ならないよう映画ごとにずらし、多数の入場者がロビーに集まるのを避けることなどが義務付けられています。
入場者は、館内の公共スペースではマスクを着用しなくてはなりませんが、着席後は「強く推奨」に留め、義務ではありません。入場券の購入はオンラインでの事前購入が「推奨」されています。
アメリカ式、野外の《ドライブイン》シネマ再ブーム
1930年代に登場し、アメリカではすっかりお馴染みの野外映画ドライブインですが、ヨーロッパでは珍しく、フランスでも1950〜60年代にかけてアメリカのポップカルチャーへの憧れからこのコンセプトが輸入されたものの、定着するには至りませんでした。
ところが、ロックダウン期間中から昨日まで映画館が閉まっていたこともあってか、ドライブイン・シネマ(drive-in cinéma, cinéma drive-in)又はシネ・パルク(ciné-parc)と呼ばれる野外映画上映イベントが南仏で行われるようになりました。そして気温の上昇とともにフランス全土に広まり、静かなブームになっています。
入場券は事前にインターネットで購入し鑑賞は自分の車の中、と感染リスクが無いことも然りですが、2ヶ月間のロックダウンで家に閉じこもっていた反動からか、野外での新しいアクティヴィティとして人気が集まっています。
執筆:マダム・カトウ