12月22日(火)、ロンドン及びイギリス南東部でコロナ変異種が発生した事を受け、仏政府はフランス時間21日午前0時よりイギリスとの国境を「少なくとも48時間」閉鎖すると発表しました。クリスマスを目前にした突然の足止めに、フランスに帰省する予定だったロンドン在住のフランス人の間では困惑と混乱が広まっています。
在英フランス人帰省客、突然の《国境閉鎖》に怒り
クリスマスを数日後に控えた最悪のタイミングでの国境一時閉鎖で、英仏間の陸空海の全ての交通が遮断されました。21日以降母国への帰省を予定していた在英フランス人たちは、急遽予定変更を余儀なくされています。
アンジェ(Angers)出身でロンドン在住のアレクサンドラ(Alexandra)さん44歳は、特に病気の父親に会うのを楽しみにしていました。
「私がクリスマスに帰れないとわかったら、心臓病を患う父はショック死してしまうかもしれません」と心配を隠せない様子でメディアの取材に答え、「新型コロナウイルス の感染拡大がどれだけ深刻かなんてもう随分前から分かっているのに、突然国境を閉める代わりに、何故今まで国境を行き来する人全員に検査をしてなかったのでしょうか?」と「行き当たりばったり」の政策変更に怒りをあらわにしました。
イギリスからフランスへの入国者、PCR検査義務化か?
仏政府は海外からの入国に際し、コロナ感染が拡大するアメリカ、ロシアなど十数ヶ国に関しては、出発の72時間以内に行なったPCR検査が陰性である事を義務づけています。
またそれ以外の国から入国する際も、日本、韓国、タイ、ニュージーランド、オーストラリアなど感染者が少ない国を除き、出発72時間以内に行った抗原検査の結果が陰性である事を義務付けています。
但し、現在までイギリスなどEU加盟国は、感染拡大にも関わらず入国の際の検査義務はありませんでした。
今回のコロナ変異種の発生で、政府は自国民か否かに関わらずイギリスから入国するすべての人にPCR検査を「義務づける事になるだろう」と発表しています。
イギリスでの検査に150ポンド、検査予約取れず諦める人も
フランスへの出発を23日予定している在英20年のアントン(Anton)さん一家は、検査の予約が取れるところがないため、急遽、プライベートの検査機関に一人あたり150ポンド(約21,000円/1ポンド=約138,88円)も払って検査を受けに行きました。
アントンさんはメディアの取材に答え、「フランスでは無料の検査に大金を払わされた上、23日に国境再開するかどうかも不確定だ」と苛立ちを隠せない様子です。
同じく23日にパリまでの列車の予約を取っていたローラ(Laura)さんは、結局検査の予約が取れなかったため帰省を諦め、クリスマスはロンドンで過ごすことにしました。
スイス経由の帰国ルートも断念
予定していたフライトがキャンセルになったミリアム(Myriam)さん(42歳)は一晩中かけて他のルートを探した結果、スイスに飛ぶフライトを予約し、そこから列車でフランスに帰国することにしました。でも残念ながらスイス政府もイギリスとの国境の一時閉鎖を決定し、フライトはキャンセルになってしまいました。
ロンドンの友人宅に遊びに来ていたアメル(Amel)さんは、「自分のフライトは26日で、確実に飛ぶと航空会社に言われたものの、空港でPCR検査をしてもらえるのか?一度テストしたら何日間有効なのか?」など、正確な情報をがわからないため、「不安」をあらわにしています。
仏英間の移動に伴う混乱はしばらく続きそうです。
執筆:マダム・カトウ