3月21日(木)、フランス国会は予防接種薬や一部の軽い病気の薬の調剤薬局での販売、および助産婦が予防接種を打つことを許可する法案を可決しました。
医者の処方箋免除の薬の品目拡大 一部の薬やワクチンが薬局で購入可能に
今回の法改正により、現在医者の処方箋が義務づけられている一部の医薬品や予防接種のワクチンが直接薬局で購入できるようになります。
処方箋なしで購入できるようになったのは膀胱炎、口峡炎などの軽い病気の治療薬です。改正により患者の治療までの手間と時間が軽減されます。
今回の法案を提出したトマ・メニエ(Thomas Mesnier)議員は、「今回の法案は決して薬局に独立した処方権自体を付与するものではない。薬剤師は国の研修を受け定めるルールに従い、主治医との連携義務をまもって薬を処方する」と慎重な姿勢を強調しています。
助産婦さんが子供の予防接種も可能に
2016年の法改正で助産婦さんはすでに妊婦および新生児への予防接種が可能でしたが、今回の改正で子供への接種も認められることになりました。
これは、昨年2018年1月に乳幼児および12歳未満の子供の予防接種が、3種類から11種類へと大幅に増加されたことによる受診待ちを減らすことを目的としています。今まではまず医者に行って処方箋をもらいワクチンを薬局で購入し、再度、医者に行って接種を受けていましたが、今後は認可された予防接種については処方箋をもらう手間が省け、さらに医者の予約がとれなくても助産婦さんから接種を受けることができます。
インフルエンザの予防接種は対象外
フランスの一部の地方では人口減少による医者の廃業、病院の閉鎖統合が進んでおり、インフルエンザの予防接種を受けることが困難な高齢者が増えていることから、2017年冬より試験的に一部の薬局に、許可を与えてきました。
この冬も試験的に、フランスの一部の地方(オーヴェルニュ・ローヌ=アルプ:Auvergne Rhône-Alpes, ヌーヴェル=アキテーヌ:Nouvelle-Aquitaine, オ=ドゥ=フランス:Hauts-de-France ,オクシタニ:Occitanie)では、希望する薬剤師による予防接種が一部の薬局で行われています。
この施策は今年の3月末までで一旦終了し、EU法でもインフルエンザは医者の処方が義務化されていることから、今回の法改正案から除外されています。
執筆:マダム・カトウ