イギリス人のフランス国籍申請数が2015年の8倍に ブレグジットを見据えて

2018.10.15

10月10日(水)、フランス内務省(Ministère de l’Intérieu)は、2017年にフランス国籍取得を申請したイギリス人の数が3,173人に上り、フランス国籍の全申請数のおよそ3.5パーセントを占め、2015年以降でおよそ8倍に急増していることを明らかにしました。来年2019年に迫る、イギリスのEU(欧州連合/European Union)からの離脱を見据えた動きが加速しています。

 

2019年に迫ったブレグジット

現在、EUの加盟国であるイギリスは、2016年6月23日に「イギリスのEU離脱の是非を問う国民投票」がおこなわれ、離脱が51.9パーセントの票を得て、僅差でEUからの離脱が決まりました。投票率は71.8パーセントに上り、3000万人以上が投票に参加しました。

EU離脱の機運が高まった背景には、ドイツが主導権をとり推し進める経済政策へのイギリス国民の不信感、イギリスへの移民流入に対する危機感などがあります。

一般的には、Britain(イギリス)とexit(退場する)をかけ合わせてブレグジット(Brexit)と呼ばれています。

EU離脱は、2019年3月29日(金)のグリニッジ標準時午後11時(日本時間、3月30日午前8時)に行われる予定で、離脱まで既に6ヵ月を切っています。

 

急増するイギリス人のフランス国籍申請

2015年から2017にかけて8倍の申請数

フランス内務省の公式の統計によると、2015年にはイギリス人によるフランス国籍取得申請数は386件でしたが、2016年には1,363件のおよそ3.5倍に増加します。2017年には、2015年のおよそ8倍にあたる3,173件に急増。全てのフランス国籍取得申請者数における割合も、2015年には0.4パーセントでしたが、2017年には3.5パーセントまで増加しています。

2018年上半期だけで既に1,370件

また、2018年は上半期だけで既に1,370件(暫定)の申請があり、全申請数の2.6パーセントを占めていて、今後更に申請数が増加すると見込まれています。

ブレグジットが迫り、次第に多くのイギリス人がフランス国籍取得を望んでいる。2015年から2017年で、申請者の数は8倍になった。

 

フランスにおけるイギリス人の人口

外務省(Ministère des Affaires étrangères)によると、フランス国内のイギリス人の数はおよそ30万人と推定されています。その多くは、既に退職し、老後の生活をフランスで過ごしている人達です。

一方、フランス国立統計経済研究所(INSEE/L’Institut National de la Statistique et des Études Économiques)が2014年に発表した見解では、フランス国内のイギリス人の数はおよそ15万人とされています。

フランス南西部には39,000人のイギリス人が

フランス国立統計経済研究所が2017年に発表した、フランス国内のイギリス人15万人の地域ごとの人数は、フランスの南西部に位置するヌーヴェル・アキテーヌ地域圏(Nouvelle-Aquitaine)では、およそ26パーセントにあたる39,000人が暮らしていて、フランス最大のイギリス人コミュニティーが存在することがわかります。

次いで、南部のオクシタニー地域圏(Occitanie)が17パーセントの25,500人、パリとその近郊を含むイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)が13パーセントで19,500人となっています。

 

ブレグジットがフランス国籍取得申請を加速

EU離脱の是非を問う国民投票によって離脱が決定したイギリスですが、皮肉にもEU離脱がフランス国籍取得申請を加速させることになっています。

その背景には、EU加盟国内では、EU市民であれば現地の住民と同様の労働権、居住権が保障されていますが、離脱後にフランス在住イギリス人の身分がどのように保障されるのか、先行きが不透明であることが原因とされています。

また、フランスと同様に、EU加盟国のドイツやスペインも市民権を申請するイギリス人の数が増加しているということです。

執筆:Daisuke

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