第10回ゲイ・ゲームズ パリ 2018 台湾旗使用難色に活動家らが抗議

2018.07.25

来月、8月4日(土)~12日(日)にパリで行われる、LGBT(性的少数者)のスポーツ・文化の祭典「Paris 2018 GAY GAMES 10」で、主催者が台湾旗の使用に難色を示していることから、台湾の活動家らが「中国政府から主催者に対して圧力がかかっている」と非難しました。

 

GAY GAMES(ゲイ・ゲームズ)とは?

GAY GAMES(ゲイ・ゲームズ)は、夏季オリンピックが開かれる中間の年に、ゲイ・ゲームズ連盟(Federation of Gay Games / FGG)によって4年に一度開催される、LGBTのスポーツ、および文化の祭典です。10種競技の元オリンピックアメリカ代表で、現在はスポーツ医学博士のトム・ワデル(Tom Waddell)氏によって設立されました。

当初は GAY OLYMPIQUE(ゲイ・オリンピック)という名称の予定でしたが、IOC(国際オリンピック委員会)やUSOC(アメリカオリンピック委員会)から、「オリンピック」の名称使用を禁止されたため、現在の名称になっています。

第一回は、1982年にアメリカ・サンフランシスコで開催されました。その後は、ニューヨークやオランダのアムステルダム、オーストラリアのシドニー、ドイツのケルンなど同性愛に寛容な都市で開催され、10回目の今回はパリで行われます。

開催年 都市 参加者
第1回 1982年 サンフランシスコ 🇺🇸 アメリカ合衆国 1,350人
第2回 1986年 サンフランシスコ 🇺🇸 アメリカ合衆国 3,500人
第3回 1990年 バンクーバー 🇨🇦 カナダ 8,800人
第4回 1994年 ニューヨーク 🇺🇸 アメリカ合衆国 12,500人
第5回 1998年 アムステルダム 🇳🇱 オランダ 13,000人
第6回 2002年 シドニー 🇦🇺 オーストラリア 12,100人
第7回 2006年 シカゴ 🇺🇸 アメリカ合衆国 11,700人
第8回 2010年 ケルン 🇩🇪 ドイツ 9,500人
第9回 2014年 クリーブランド 🇺🇸 アメリカ合衆国 8,000人
第10回 2018年 パリ 🇲🇫 フランス
第11回 2022年 香港 🇨🇳 中国

 

何が問題なのか

登録時には台湾の名称と国旗使用を認めた

スポーツを始めとする主な国際大会では、中国の圧力を背景に、台湾は「Chinese Taipei(中華台北)」名義で、中国の一地域としての参加を余儀なくされています。

しかし第10回目の今回、初の参加となる台湾は、登録時に「Taiwan(台湾)」で登録を行うことができ、台湾の「国旗」🇹🇼(青天白日満地紅旗)の使用も認められたため、選手団は「台湾代表」として出場することができると期待していました。

18名の代表団のChi Chia-wei (祁家威)会長は、「中国共産党はゲイ・ゲームズ連名の会員ではないため、台湾の名前で参加できた」と述べ、メダル獲得時には台湾の「国旗」を掲げることも出来ると見られていました。

その後、使用に難色を示す連盟

しかし先週、大会を主催するゲイ・ゲームズ連盟から、「フランス政府が台湾旗を掲げることに懸念を示している」と連絡が入りました。また、公式ホームページ上では、登録時の「Taiwan(台湾)」ではなく「Chinese Taipei(中華台北)」の名称で記載されています。※7月25日19時現在は「Taipei」と記載されています。

これに対し、台湾の同性愛者権利保護団体の「台湾同志運動発展協会」の楊智群(Yang Chih-chun)理事長は、「中国政府がフランス政府に対して圧力をかけたというのが私たちの結論だ。でなければこのような事態は起こらない」と述べています。

ホームページの「Chinese Taipei」表記に関しては、現在連盟に交渉中で、楊氏は「ゲイ・ゲームス連盟が中国の圧力に屈しないことを願う」と述べています。

次回大会の2022年は、中国の香港で開催されることが決まっているため、「台湾」名義で参加することはほぼ不可能と思われることから、今回の連名の判断に注目が集まっています。

 

今回の大会は

今回の大会は、およそ90の国や地域から、約10,000人が参加するとみられています。現時点では、日本から14名が参加し、最も多いのはアメリカの3,362人、そして開催国のフランスが2,340人、イギリスが831人、ドイツの830人と続きます。

また、現在でも同性愛が社会的に認められておらず、犯罪として扱われている中東諸国やアフリカ諸国からも多くの人が参加します。日本でも先ほど、ある政治家が「LGBTは生産性がない、支援の度が過ぎる」と発言して物議を醸していますが、このゲイ・ゲームズが、LGBTの人権・社会的地位向上を訴える場所として大いに期待されています。

パリ市内や近郊、ノルマンディー地方のル・アーヴル(Le Havre)の会場では、9日間熱戦が繰り広げられる予定です。⇒競技・催事会場

大会期間中にパリを訪れる予定のある方は、観戦してみてはいかがでしょうか。

執筆:Daisuke

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