マクロン大統領の側近 メーデーのデモ参加者へ暴行か 大統領への批判が噴出

2018.07.24

5月1日に行われたメーデーのデモ参加者に対して、エマニュエル・マクロン(Emanuel Macron)大統領の側近が暴行を加えたとして訴追されたことを受け、大統領府への批判が高まっています。

 

事件の経緯

5月1日に行われたメーデーのデモで、パリ5区と6区にまたがるカルチェ・ラタン(Quartier latin)のコントルスカルプ広場(Place de la Contrescarpe)で、警官隊とデモ参加者が衝突しました。

その際、警官隊がデモ参加者に対して激しく暴行を加えていて、その様子はすぐに動画サイトに投稿され、警察への批判が高まっていました。

 

「警告 警官の暴力
警官がコントルスカルプ広場の人達に向かって暴力をふるい、ガスを撒いている!! 拡散しよう、みんなが見るべきだ!!」

一組の男女を警官隊が引きずる、蹴る、踏みつけるなど、激しく暴力をふるっている様子が映っています。

この時、暴行行為を加えていた人の内一人が、マクロン大統領の側近のアレクサンドル・べナラ(Alexandre Benalla)容疑者であると、先週18日(水)夜に現地紙のル・モンド紙が明らかにしたため、国民の怒りは大統領府へと向かいました。

 

べナラ容疑者を含めて5名が関与

べナラ容疑者は、暴行行為の他、警官に偽装した罪などで訴追され、マクロン大統領の側近を20日(金)に解雇されています。また、同じ映像に、マクロン大統領が率いる「共和国前進!( La République En Marche !)」の職員であるヴァンサン・クラス(Vincent Crase)氏も映り込んでいて、現在警察による取り調べを受けています。

この他にも、マクサンス・クルザ(Maxence Creusat)容疑者、ローラン・シモナン(Laurent Simonin)容疑者、ジャン=イヴ・ユノー(Jean-Yves Hunault)容疑者の、警官3名がべナラ容疑者の容疑を晴らすために、無断で監視カメラの映像を漏えいさせた罪、および守秘義務違反の罪で訴追されています。

 

大統領府が事件をもみ消そうとした疑惑が浮上

一連の騒動を受けて、マクロン大統領は22日(日)に閣僚を招集し、今後の対応を協議し、べナラ容疑者に対して「無罪はない」と断言し、大統領府内の組織の再編をおこなうことを明言しました。

しかし、騒動直後の5月3日には、ジェラール・コロン(Gérard Collomb)内相が一連の動画の内容を把握していたにも関わらず、捜査を行わなかったことから、事件をもみ消そうとしたのではないかとの疑惑が浮上しています。

騒動翌日の5月2日、IGPN(Inspection générale de la Police nationale 国家警察監査局)に、問題のビデオが匿名の通報者によって報告されています。べナラ容疑者は5月4日~19日の15日間停職処分を受けていますが、その後は職務に復帰し、7月14日の革命記念日のパレードや17日のワールドカップ優勝パレードの警備を担当しています。

これに対して、コロン内相は「大統領府と警察本部はべナラ氏の情報を受け取っていたので、適切な対応がとられていたと思っていた。だから、司法当局へ連絡するのは、彼らの責任だと考えていた。」

現在、国会はマクロン大統領が進める改正憲法案の審議の真っ最中ですが、与野党は審議を中断してマクロン大統領に説明を求めています。

本日(24日、火)、コロン内相が国会でべナラ事件について意見を述べる予定です。

執筆:Daisuke

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