フランス滞在許可取得の条件が厳格化、仏語レベル証明書と市民試験を義務化

2026.01.06

2026年1月6日(火)、今年からフランスの滞在許可証取得の条件に、フランス語能力の証明書が必須になり、新たに「市民試験」(examen civique)が追加になりました。他のEU諸国にくらべ、ゆるいといわれるフランスの滞在許可の要件を強化する一方、昨年末、アメリカ人俳優のジョージ・クルーニーさんとその家族がフランス国籍を取得したことに対し、有名人への「優遇」があったのではないか?との声もあがっています。

 

フランス人にも難しい!フランスの「市民試験」とは?

フランスに長期滞在する場合、EU圏外からの外国人に対し、語学力だけでなくフランスやEUの価値観を理解することが要求されます。

具体的には、複数年(2~4年)の滞在許可(carte de séjour)、居住許可(carte de résident)、永住権(résident permanent)を初回に申請する場合、およびフランス国籍の取得に際し、この市民試験で80%以上の正解を出すことが要求されます。

市民試験は、政府公認機関でおこなわれ、所要時間45分の間に40の質問に答えます。

質問のテーマは下記の5つの分野:

「フランス共和国の主要な価値観」(基本理念、政教分離など)
「フランス生活における権利と義務」
「制度、政治的仕組み」(選挙権、欧州連合EUの基本原理)
「フランスの歴史、地理、文化」
「フランス社会生活」(医療、労働の権利)

ちなみに、取得する滞在許可によって試験の難度が異なります。

試験は無料で何度でも受けることができ、フランス政府のオフィシャルサイトで学習することができます。

フランス語能力の証明が必須に

今年から、複数年滞在許可の取得には、ヨーロッパ言語共通参照枠(Cadre européen commun de référence pour les langues:CECRL)で簡単な日常会話ができるレベルのA2、居住許可、永住権、フランス国籍取得なら、仕事や日常生活で支障なく使えるB1レベルが必要です。

CECRLの基準は、フランス語学習者にはなじみのあるDELF(A1~B2)やDALF(C1、C2)のレベルと一致しています。

以前は、政府が無料で提供するフランス語の授業に要求された時間数だけ出席すればよかったものが、今年からこれらのテストに合格した証明書か、同レベルの語学力を証明できる他の書類の提出が必須になりました。

テストには100ユーロ(約18,300円/1ユーロ=約183円)~200ユーロ(約36,500円)の受験料がかかります。

 

仏語が不得意なクルーニー氏の仏国籍取得、優遇はあったのか

移民政策が全体的に強化されるなか、昨年末、アメリカ人俳優のジョージ・クルーニーさんとその家族がフランス国籍を取得したことに対し、有名人への優遇はなかったのか?との声も上がっています。

クルーニー氏は、12月初旬に出演したラジオ番組で、フランス語を「400時間勉強したけどいまだにへたくそ」だと、自ら発言していました。

フランスへの帰化、一般的には「高いハードル」

フランス国籍の取得、つまり帰化するには様々なケースありますが、両親や祖父母などがフランス人だったという血縁によるもの、子供のころからフランスに住んでフランスの学校を卒業したといったフランスとの密接な関係がある場合と、そうでない場合に分かれています。

大人が自分の意思で帰化を希望する場合、フランス人との婚姻によるものとそうでない場合にわかれますが、基本的にはフランスに5年間連続して居住しているなど最低限の条件があります。

そのうえで、収入や納税証明書などの様々な書類が要求されますが、そのすべてを提出したからといって、承認されるとは限りません。

また、「フランスに多大なる貢献をした」ことによる取得もありますが、基準は明確ではありません。

一般的には、申請してから1年など、審査に長い時間がかかります。

内務省政務次官が「二重基準」の爆弾発言、内務大臣が火消しに

大みそかの31日、内務省政務次官のマリー=ピエール・ヴェドレンヌ(Marie-Pierre Vedrenne)は、フランスのメディアで「ジョージ・クルーニー氏のフランスへの帰化申請は非常に名誉なことだ」としつつも、こういった(有名人)前例が人々に与える影響について慎重になるべき、と警鐘を鳴らしました。

同氏は「個人的には」と前置きをしたうえで、クルーニー氏の国籍取得に関して「二重基準」だと発言しました。

しかしながら、この数時間後、ヴェドレンヌ氏はこの発言を撤回しています。

内務大臣は「優遇」否定、クルーニー氏を歓迎

一般人が、いつからジョージ・クルーニーがフランスに「連続して」住んでいるのか、と疑問に思うなか、内務大臣ローラン・ヌニェス(Laurent Nuñez)は、「二重基準」ではなく「内務省の判断」でフランス国籍を付与したことを明らかにしました。

2021年に南仏、ヴァ―ル(Var)県に購入した邸宅で一年のうち数か月を過ごす、俳優兼監督のクルーニー氏がフランスに住むことに「満足しており」、これはフランスにとって「いいチャンス」だと発言しています。

フランス内務省の発表によると、2024年は48,800人がフランスに帰化しています。

執筆:マダム・カトウ

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