フランス経済 パスタ15%値上げ、インフレ加速が庶民の財布にダメージ

2022.05.10

フランス経済 インフレでパスタ値上がり15% 

5月10日(火)、フランスの4月から6月の国内総生産の伸びは僅か0.25%と予想される中、5月のインフレ率は5%、6月もさらに上昇すると予想され、購買力のさらなる低下が続くようです。特に食料品の値上げは庶民の家計を直撃しています。

インフレ5月に5%超え、6月は5.4%に

フランスのインフレが加速を続けており4月には前年対比で4.8%伸び、5月には5.2%、6月には5.4%に到達すると見込まれています。

一方、オミクロン株が猛威を振るっていた今年1月から3月のフランスの国内総生産の伸びはゼロでしたが、4月から6月で0.25%の微増となり何とかマイナスに転じるのを免れています。

インセ(フランス国立統計経済研究所 : INSEE : Institut national de la statistique et des études économiques)は今年上半期の国内総生産を2.6%と予想していますが、これは昨年末からの経済活動の本格的な復活によるものです。

 

食料品の値上げ、1年で6%に

1年前と比べ最も値上がりした食品はパスタで、4月末の時点で15.31%も値上がりしています。

続いてフランスの食卓でよく見られる冷凍ひき肉ステーキなどの冷凍肉が11.34%、小麦粉が10.93%、ひまわり油、菜種油など食用油が9.98%、マスタードが9.26%値上がりしています。

コロナ禍で前年対比0.3〜0.4%の値下がりが続いていた食料品は、昨年12月から値上がりをはじめ、3月には1.73%と顕著になり4月には3.01%に上っています。

ウクライナ侵攻による石油、ガス、電気の値上がり、肥料や飼料、小麦や植物油の値上がりによる生産コストの増加により、すでに食料品の販売価格への転嫁が進んでいます。

物価高、製品やサービスの値上げに波及

中国のゼロコロナ対策による製造業の停滞は、部品不足などを引き起こし、日用品などの値上げにも繋がっています。

また、インフレを反映した最低賃金(SMIC)の引き上げは、製品はもちろん特にコストに人件費の占める割合が高いサービス業の値上げ要因となり、皮肉なことに今後消費者のさらなる負担増を招く可能性を秘めています。

 

フランス個人消費の伸び、旅行や外食の「リベンジ消費」、雇用増

今年の第一四半期に激減した個人消費は、物価高にもかかわらず4月〜6月では僅かに上昇すると予想されています。

4月以降の気温上昇やイースター休暇などでホテルやレストランなど、旅行産業の復活が本格化してきたことが大きな要因として挙げられます。

また、雇用が比較的安定していることも貢献しています。

貯金削って生活費に

インセはそれ以外の理由として、物価高にもかかわらず「生活レベルを下げないため」に貯金を切り崩しているという可能性をあげています。そのため今後数週間でフランス人の貯蓄率が減少すると見ています。

また、フランスで低所得層の下から20%の国民は、コロナ禍の2年間で増えた分の貯蓄を「全て使い果たした」という分析結果も出ています。

 

ル・メール経済相「これからが正念場」、消費支援対策に法案提出へ

フランス経済省では、昨年末に低所得層などに電気代支援として100ユーロ(約13800円/1ユーロ=約138円)の補助金を支給し、またガソリン代の値上がりに対し1リットルあたり0.18ユーロ(約25円)の減税を行なっています。

インセによると、この対策がなければインフレ率はさらに2ポイント上昇する計算になるようですが、これらの導入時からさらにインフレが進んでおり、新たな対策が望まれています。

現在経済省はル・メール(Bruno Le Maire)経済相を中心に対策となる法案を検討しており、6月中旬の下院選挙ののち国会に提出されます。

執筆:マダム・カトウ

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