7月16日(金)、「フランス国内の長距離フライトへの搭乗時にコロナパスポートの提示を義務付ける」という大統領の発表を受け、エールフランス航空は15日、搭乗の数日前にオンラインによる書類の事前登録を受け付けると発表しました。同じくコロナパスポートの提示が義務となった列車の長距離移動に関して、フランス国鉄(SNCF)も事前登録を検討しています。一方、コロナパスポート導入拡大に反対する抗議デモも起こっています。
搭乗の数日前にメールで連絡、オンライン登録で空港の混雑回避
まず、搭乗の数日前にメールでコロナパスポート情報の登録を促す案内が送られてきます。
搭乗者が情報を指定のプラットフォームにアップロードし、エールフランス側で確認作業が終わるとコンファメーションがメールで送られます。
さらに、搭乗券にはコロナパスポートの確認が完了したことを示す《Ready to Fly》(飛行準備完了)という文字が記載されます。
これにより、空港でのチェックインや搭乗時の確認作業による負担を軽減し、空港での混雑を回避します。
明日17日、コルシカ行きから事前登録開始
エールフランスはすでに明日のコルシカ行き、またニューカレドニアやタヒチなどフランス海外県行きのフライトにこの制度を導入しています。
同社によると、コロナパスポート情報の事前登録は任意で必須ではありません。また、欧州の個人情報保護規則であるEU一般データ保護規則(GDPR)に則り、データは確認作業に必要な時間のみ保存されたあと破棄されます。
フランス国鉄、8月からの導入にまずは現場対応
航空会社のコロナパスポート導入対応が迅速に行われたのは、すでに昨年から国際線で免疫証明やPCR検査の陰性証明の提示が必要になっていたことから、確認のためのプラットフォームが用意されていたからです。
今回の発表で対象になったフランス国鉄や長距離バス会社は、乗車券以外の書類提示は不要だったため、これから対応を検討しなくてはなりません。
フランス国鉄は、「乗車券を購入する際にコロナパスポート情報をアップロードする仕組みを検討してはいる」ものの、同社オンラインサイトoui.sncf への導入は「技術的にかなり複雑」で実現には「数ヶ月必要」だと発表しています。
そのため同社は、8月からのコロナパスポート提示義務化にあたり、まずは駅のスタッフによる乗車前の書類確認をどのように行うか、最優先で検討を進めています。
コロナパスポートの所持が対象となる列車は購入時に分かるようオンラインサイトに明記し、乗客には購入時および乗車日の前にもSMSとメールで連絡が行きます。
しかしながら、発表から導入までの期間が短いため、フランス国鉄は現場でのコントロールがスムーズに行くまでには「数週間かかる」と見ています。
夏のバカンスシーズンのピーク時での導入となるため、「乗客の負担にならないことが重要」とコメントしています。
コロナパスポート導入抗議デモ、フランス各地で2万人
コロナパスポート導入準備が進められる中、他方では導入自体に反対する声も上がっています。
14日(火)、マクロン大統領の任期中最後となる革命記念日にシャンゼリゼ大通り(Champs-Elysées)で軍事パレードが開催される中、フランス各地で「コロナパスポートの導入拡大反対デモ」が数百人〜数千人規模で行われました。
デモは、今週12日(月)に行われた大統領の発表で言及されたコロナパスポートの介護士への義務化や、カフェやレストラン、映画館などでの提示義務導入に反対するもので、参加者は「コロナパスポートは独裁主義」「ワクチン差別反対」「自由の剥奪」などを唱えています。
コロナパスポートはこれまで海外への渡航など限定的な利用でしたが、ワクチン接種のペースが上がらない状況から、政府が導入を拡大するという「強硬策」に出たと言われ、賛否両論に分かれています。
執筆:マダム・カトウ