フランス政府 ガソリン価格高騰でインフレ補助金支給

2021.10.22

フランス政府 ガソリン価格高騰で支援金10月22日(金)、原油価格の高騰で軽油が過去最高の1リットル当たり1.56ユーロ(約206円/1ユーロ=約132円)、SP95と呼ばれるガソリンが1.62ユーロ(約214円)に達したことから、カステックス(Jean Castex)首相は昨日21日、手取り2,000ユーロ(約265,000円)以下の所得者一人あたりに100ユーロ(約13,200円)ずつ支給すると発表しました。

 

所得2000ユーロ未満が対象、奨学生や勤労学生、年金生活者も

インフレ補助金は世帯収入ではなく一人あたりの収入で支給対象になるかどうかが決まります。

例えば夫婦で妻が手取り1600ユーロ(約211,000円)、夫が1800ユーロ(約237,000円)の収入がある場合、それぞれ100ユーロが支給されます。

支給は1回きりで、民間の給与所得者には12月末に100ユーロ、雇用主を経由しボーナスのような形で支給されます。社会保障費用や所得税の対象にはならないため手取りで丸々収入の足しになります。ちなみに公務員には来年1月末、年金生活者および失業者にはその若干後に支給されます。

今回の支給は、親の収入が低いために奨学金を受けている学生や親の扶養から外れている勤労学生にも行われます。

アタル(Gabriel Attal)政府報道官は、「フランスの学生の3分の2が支給対象になる」と発表しています。

 

【ガソリン代補助】から【購買力支援】へ、3,800万人対象

政府は当初「ガソリン代補助」という名目で、ガソリンの値上がり分を補填する目的の支援を検討していましたが、自動車通勤者のみを対象とするような複雑な選定を避け、シンプルかつ迅速に行うことを優先し「インフレ補助金」に変更しています。

フランスの労働者の5割が対象に

これによりフランスの労働者の約半数、年金生活者の約70%が対象になり、受給人数は3,800万人に膨れ上がっています。

カステックス首相は、価格が高騰したのはガソリンのみならず、資源の高騰で消費者物価、特に「食料品の値上がり」も理由に上げています。

また、今回の補助金の受給に受給者からの申請は不要で、政府から自動的に支給されます。

支給額の根拠について、首相は「(ガソリン補助ではないものの)フランス人の車での年間走行距離は平均1万4000キロで、そこからガソリンの値上がり分を計算すると約80ユーロ(約10,560円)の負担増となった」ため、支給額を100ユーロにしたと説明しています。

 

総額3,800億ユーロ、野党から非難

極右系政党レ・パトリオット(Les Patriotes)の党首、フロリアン・フィリポ(Florian Philippot)氏は、「米粒のような」支援だと非難し、「それよりもガソリンにかける税金を下げろ」とツイートしています。

極左で欧州議会議員のマノン・オーブリー(Manon Aubry)氏は、自らのツイートで「首相は、ガソリンの価格を凍結するなどの根本的な問題の解消に向かわず、わずかな支援金でごまかしている」とし、また「トータル(Total)のように巨大な石油資本企業が利益をさらに増やしている現状を放置している」と痛烈に非難しています。

原資は消費税増収分から

3,800億ユーロ(約50兆3650億円)もの支給額をどうやって捻出するかについて、カステックス首相は「財政支出の節約」と「物価上昇による消費税収増分」からと説明していますが、具体的にどのように支出を抑えるかといったコメントは避けています。

執筆:マダム・カトウ

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