昨年8月、第一回目ロックダウン解除後の夏休みで観光客が一部戻ったモンサンミシェル(筆者撮影)
6月18日(金)、コロナ禍でほぼ皆無となっていたフランスの外国人観光客が6月の入国規制緩和以降早速戻り始めました。主にヨーロッパ人、アメリカ人観光客で、パリ等の大都市や南仏のキャンプ場等を訪れています。今夏の業績回復を急ぐ関係者たちは、まずまずの滑り出しに胸をなでおろすともに、外国人客の更なる増加に期待を寄せています。
「外国語が聞こえてこない !」パリの観光名所トンネルの先に光
昨年3月から今年の5月まで、コロナ禍で観光目的によるフランスへの入国が制限され、年間約8200万人もいた海外からの観光客ほぼ皆無となっていました。
5月のロックダウン段階的解除で再開したルーブル美術館やベルサイユ宮殿など、世界屈指の観光地では入場者の大多数が地元のフランス人観光客でした。
世界一の観光大国を誇るフランスでは観光業の復活を急ぎ、感染者の減少とともにヨーロッパ、アメリカを中心に観光目的の入国が可能になりました。
これを受け、パリの街にも外国人観光客が戻り始めました。
「やっと自由を取り戻した」外国人観光客
「昨年1年間どこにも旅行に出かけていない」というアメリカ人観光客の家族は、パリ市内を巡回運行する「オープントップバス」に乗り、世界遺産に指定されたセーヌ河岸の風景や修復が進むノートルダム寺院などの景観を楽しんでいます。
「一度も訪れたことがない街に来れるなんて最高です」と、久しぶりの観光を満喫しています。
昨年11月に運行停止し、7ヶ月ぶりに再開したばかりだというこの観光バス会社の責任者ブノワ・バロー(Benoît Baaraud)氏は、自らも乗り込んだバスでメディアのインタビューに答え、「今日から再開したが、40人ほどの予約が入っています。初日にしてはまずまずです。6月に入り天気もよく、夏は満席で運行できることを期待しています」と、自身も再開を満喫しているようです。
「この夏には満席に」セーヌ川クルーズ
パリのセーヌ川の遊覧船の一つ《バトーパリジャン》(Bateaux Parisiens)も運航を再開しました。
アメリカ人観光客のほかブルガリアからきたカップルは「やっと自由を取り戻した。このクルーズ船に乗ればパリの観光名所が一度にたくさん見れる」と、満足そうな様子です。
営業部長のアラン・テヴネ(Alain Thevenet)氏は、「現在週5日間の間引き運行を行っていますが、予約は増えており、パリ祭の7月14日のディナークルーズはもう予約が埋まりつつあります。6月は天気もいいので早く週7日の運航に戻し、この夏は大盛況にしたい」と早い業績復活への意欲を見せています。
南仏のキャンピング場、ヨーロッパ人のリピーター客が早々と
フランス人観光客しか見かけなかったキャンプ場にも、ドイツなどフランス国外のナンバープレートの車が見かけられるようになりました。
ルクセンブルグから来たというリピーターのカップルは、「フランスに入国できるようになってすぐに車で来た」と話しています。入国には抗原検査が必要ですが「検査はたいした負担ではない。また国境を超えることができて本当に嬉しい」と移動の自由を満喫しています。
夏休み前ということもあってか、メディアの取材を受けたキャンプ場は全体の15%しか埋まっていませんが、関係者は今年の夏に外国人観光客の更なる増加を期待しています。
執筆:マダム・カトウ