12月21日(火)、「きりがない」「多すぎる」と、フランスで2回のワクチン接種を終えた人達の中に、3回目の接種を拒否したり、消極的になっている人が少なからずいるようです。多くの人が、ワクチンは「必要だ」と納得しているにもかかわらず、2回も接種したのに「コロナが終わらない」ことに苛立ちを隠せないようです。
「もういい加減にしてくれ!」終わりなきワクチン接種に「うんざり」
来年1月15日時点で、2回目のワクチン接種から7ヶ月以上が経過した人の「コロナパスポート」は無効になります。
27歳のケヴィン(Kévin)さんは「3回目?絶対打たないね、多すぎだ」と断言します。
ノルマンディー地方(Normandie)で救急隊員をしている彼は「アンチワクチン派」でもなければ、「コロナパスポート」に反対しているわけでもありません。職業柄、3回目を打たないと仕事ができなくなりますが、そうなったら「今度こそ」コロナパスポート のいらない職種に「転職する」といいます。
2回打ったけど、なんの「得」もなかった
彼はワクチンを2回接種したこと自体にも後悔しています。
その理由について、「コロナパスポートを持っていない人と比べて、特に生活が快適になったわけでもない」からだと言います。
ケヴィンさんに言わせると、(接種した人も)結局は「皆マスクをさせられている」し、濃厚接触者になったら「自主隔離しなくちゃならない」わけです。
つまり「(接種というリスクをおかした分)損した気分」になっているのです。
どうせコロナは消えないから、なるべく先延ばしに
「(3回目を打たなくてはならないのは)私たちの免疫力が低下するからだけど、打ったからといってコロナが消えて無くなるわけじゃない」と語る70歳のドミニクさんのコロナパスポートは12月15日で切れています。
「私は元気だし、2回の接種で十分だと思う」から、3回目の接種をなるべく先延ばしにしようと決めたそうです。
「先進国優先はおかしい」の大義名分も
しかも「WHO(世界保険機関)は西側の先進国に対し、3回目の接種を控え、その分のワクチンを発展途上国に分けるように推奨しているわけでしょ?なぜ私みたいな西洋人が優先されなきゃならないのかおかしいじゃない」と別の角度から「大義名分」も見つけたようです。
収束まで20回打つハメになるのでは?
大学院で経済学を勉強するロイック(Loïc)さんは、「ワクチン摂取にも、コロナパスポートにも賛成」でした。しかし、「3回目の接種が必要」だと聞いてからは、「製薬会社のロビー活動」なのではないかと疑い始めました。
そして、ワクチンの追加接種は「コロナに限ったことではない」が、今回の追加接種は「間隔が狭すぎる」し、このままいくと収束までに「20回打たなくてはならないんじゃないか?」とコメントしています。
オミクロンに備えるには、免疫の「再獲得」が必要、専門家
フランス高等健康局エリザベート・ブヴェ(Élisabeth Bouvet)氏は、アストラゼネカやヤンセンのワクチンを接種した人が、3回目にARNメッセンジャータイプのファイザーやモデルなを接種すると、免疫が80〜90%獲得でき、何もしないと「20%〜30%に落ちてしまう」と述べています。
ブヴェ氏はまた、感染拡大のペースが早いオミクロン株と戦うには、国民全員の3回接種が「必須」だと言います。
「副作用がイヤ」3回目に消極的
2回の接種で「倦怠感や発熱、腕の痛み」を訴えた人の中には副作用が嫌という理由で3回目を躊躇する人もいます。
個人事業主のメリエム(Meriem)さん(32歳)は、「あれはもう経験したくない」と言います。とはいえ「コロナパスポート なしでどのぐらい耐えられるかわからない」ので、現在「悩んでいる」ようです。
ヴェラン保健相「クリスマスまでにあと2,000万人接種を」
65歳以上のコロナパスポート所持者は今月15日が3回目の接種期限でしたが、うち1670万人が接種を終えています。オリヴィエ・ヴェラン(Olivier Véran)保健相は、24日のクリスマスイヴ前にさらに2,000万人がブースター接種を行うことを期待しています。
現在フランスでは1日52,000人の新規感染者が出ており、うち3,000人あまりの重症者が入院しています。
執筆:マダム・カトウ