フランス オミクロン株の感染拡大 年明けからテレワークの再導入か

2021.12.23

サンタクロース マスク12月22日(水)、フランス政府報道官のガブリエル・アタル(Gabriel Attal)氏は、クリスマスから年始にかけてパリを含むイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)を始めとする多くの地域でオミクロン株の感染が拡大するとの見通しを発表しました。

 

オミクロン株の感染拡大、感染対策の追加措置には触れず

アタル氏は、フランス全土でオミクロン株の感染が拡大している状況を受け、27日(月)の閣僚会議で感染状況を再評価するとしています。この会議ではコロナパスポートの導入を採択する見通しです。

政府としては、年末の家族での集まりなどで「用心する」よう国民に呼びかけている一方で、感染対策の追加措置は現在のところ発表していません。

フランスでのオミクロン株の感染状況

21日夜に発表されたデータによると、フランスでは過去24時間で72,832名の新規感染者が確認されています。1週間前の感染者数の平均値は54,231名で、感染の拡大は明らかです。

オリヴィエ・ヴェラン保健相(Olivier Véran)は、フランス国外から国内でのでの感染拡大までに2,3ヶ月かかったこれまでの変異株と比べ、オミクロン株は感染力が高いと認識しており、いまや世界全体で感染拡大している状況に危機感を示しています。

ワクチンは有効との見方

オミクロン株の1時間あたりの感染率は20%前後、パリ近郊を含むイル=ド=フランス地域圏では30〜35%と感染力が高いことが指摘されています。

しかしヴェラン保健相は、オミクロン株は感染力は高いものの病床の逼迫にはつながっていないという認識を持っており、ワクチンについては、オミクロン株にも有効だという見解を示しています。

 

経済界の対応

以上のようにフランス政府全体としては、オミクロン株の感染拡大に慎重に対応している一方、エリザベット・ボルヌ(Élisabeth Borne)労働大臣は21日午前、Europe1の放送において、オミクロン株の感染対策としてテレワークを推奨する措置に言及しました。

年始からテレワーク推奨

ボルヌ大臣は企業に対し、新年の仕事初め(多くの会社では1月3日)より、週に最低3日できれば4日のテレワークを導入するよう要請しています。

この件は12月20日(月)、ボルヌ大臣が企業でのコロナパスポートの導入範囲の拡大を検討した会議ですでに雇用主や労働組合から要請されていたものでした。最終的には100%テレワークにすることを目指し、今回は段階的に週3日から4日のテレワークを要請することになったようです。

テレワークの推進は、対面での会議の代わりにビデオ会議を実施する、昼食時の外食を防ぐなどにつながり、人々の行き来を制限することができると考えられています。実際、第4波の感染拡大時には、テレワークの導入によって感染率のピークを40%に抑えることができました。

テレワーク強化のため視察の実施

政府の統計によれば、約50%の会社員がテレワークをすることが容易にできるとされ、先週の時点で週3日は実際にテレワークが行われています。なおこのデータによると、100%テレワークを行っている従業員は全体の18%にとどまっています。

テレワークの復活を実現させるため、ボルヌ大臣は職場への視察を強化する方針です。これは昨年春に行っていた措置と同様、1ヶ月に述べ5000回の視察を想定しています。

また、オフィスでのパーテーションの設置や、ソーシャルディスタンスの維持など、既存の感染対策も続けるよう、ボルヌ大臣は再度呼びかけました。何名かで食事するときには2メートルの間隔を空けた上でマスクを外すことなども含まれます。

テレワークの再導入で第5波は抑えられるか

しかし依然として、テレワークの再導入で、オミクロン株の感染拡大を抑えられるかどうかという問題が残ります。感染拡大が収まらない場合には、ボルヌ大臣が追加措置をとることも考えられます。

一度は否決された、職場へのコロナパスポートの導入も、再び議論されることになるかもしれないという見方もあります。

執筆あお

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