3月13日(金)、フランスにおける新型コロナウイルスの感染者数は現在2876人、うち126人が重症、死者は61人となっています。感染者急増を受け、マクロン大統領はテレビで国民に対し注意喚起を行うと同時に、3月16日(月)より学校を当面休校とするなど一連の対策を発表しました。
すべての学校、最低でも15日間休校
新型コロナウイルス感染拡大を抑えるため、来週月曜日より、保育園、幼稚園、小中高校、大学などフランスのすべての学校が、政府からの再開の指示があるまで休校となります。
ただし医療関係者で子供のいる人が仕事に行けるよう、地方自治体ごとに子供を預かる仕組みが用意されます。
企業や仕事に行けない人に配慮
マクロン大統領は昨日の演説の中で、子供の休校で仕事に行けない親や、労働時間の短縮、また休業などを強いられる企業などに向けた支援金を約束しました。
また、企業の資金繰り悪化に配慮し、3月の社会保障費用及び税金の納税期を延期する措置が取られます。
休校は「バカンス」じゃないよ!
大統領はまた、「フランスにはすでに優れた遠隔授業の仕組みがあり」フランスの遠隔授業センターCned (Centre national d’enseignement à distance)のプラットフォームにアクセスすれば学習を続けることができるので、子供たちに「休校はバカンスではないから家で勉強するように」と念をおしています。
医療機関のパンクを阻止し、《イタリア化》を避ける
フランスの医療機関では、急増する新型コロナウイルス感染者、特に重症者への対応を優先するため、緊急性のない手術は延期されます。また緊急事態に備えるため、過去5年以内に定年退職した医師、看護師、医大生は「予備班」として動員されます。
自らも医師で1ヶ月前に任命されたばかりの保健相、オリヴィエ・ヴェラン(Olivier Véran)氏は、あらゆるメディアで「最も避けるべきは、イタリアのように医療機関がパンクし、死者が増えることだ」と語っています。
特に「インフルエンザや風邪などの患者がパニックを起こして病院に押し寄せる」と、「感染者への治療が遅れ致命的な状態」になり、ひいては「医療機関のパンクを引き起こす」と語っています。
一連の対策の中で、老人ホームへの面会が禁止されましたが、これについては「高齢者の孤立」をめぐり賛否両論です。
一人一人が責任ある行動を
大統領は国民に対し、「一人一人が政府の指示を守り、責任ある行動をとること」、特に人に感染させるような行為をしないよう呼びかけました。
無観客のパリ・サンジェルマン対ドルトムントの試合にファン殺到
政府の対策として、1000人以上収容の会場で行われるイベントはすでに中止されています。またその規模以下のイベントも、多くが自主的な中止や延期に踏み切っています。
よって、昨日行われたサッカーのパリ・サンジェルマン(Paris St Germain)対ドルトムント(BV 09 Borussia Dortmund)の試合も無観客でしたが、球場の周りには数百人のファンが詰めかけ、2対0の勝利で夜遅くまで騒いでいた様子が報道されたため、一部のメディアで問題視されています。
《ビズ》や握手はダメ!《肘チェック》
フランスでは、挨拶の時に《ビズ》(bisous)という両側の頬にキスをし合う行為や、握手といった「体をふれあう」習慣がありますが、(関連記事:フランスの挨拶の仕方はこちら)新型コロナウイルスは人と人との接触により感染することから、政府はこういう挨拶をしないように呼びかけています。
現在、フランス以外にもこういった習慣のある国々では新しい挨拶方法(下記)が話題になっています。
フランス人も相手と距離をおいて「ボンジュール」と言ったり、会釈や手を振ったり、親しい友人同士では《肘チェック》や《フットシェイク》などを試しているようです。
We need to adapt to this new disease #COVID19 https://t.co/SiCL6dX2dQ
— Dr Sylvie Briand (@SCBriand) March 1, 2020
上記の様々な対策を講じたうえで、もしフランス在住者が新型コロナウイルスに感染したかもしれないと思った場合は、まず下記の専用番号に電話することになっています。
新型コロナウイルス 専用電話番号:0800 130 000(無料)
執筆:マダム・カトウ