4月30日(金)、マクロン大統領は29日(木)4段階に分けたロックダウン解除の日程を発表しました。現在閉店している生活必需品以外の商店やレストラン、美術館や劇場などの再開について具体的なスケジュールが決まり、業界では安堵の声も上がっています。一方、大規模イベント等に関しては現在EU議会で進められている「コロナパスポート」が導入されます。
5月3日から移動の自由、中高校一部対面授業再開
現在、自宅から10km圏内しか許可されていなかった移動制限は、5月3日より全面的に解除されます。但し、19時から朝6時までの夜間外出禁止は継続されます。
また、中学、高校の授業の一部が対面に戻ります。
19日、待望のカフェ、レストラン屋外営業、夜間外出21時まで延長
半年以上閉店を余儀なくされていたレストラン、カフェ、バーなどは「屋外のテラス限定」で営業が許可されます。但し、一つのテーブルに最大6人までとし、テーブル同士の間隔を空ける感染防止対策を取る必要があります。
カフェに集まってお喋りをする、美味しい食事を家族や友人と楽しむ、というフランス人にとっては大変重要な文化ですが、
大統領もこれについて「皆が慎重に、かつ責任を持ってフランス的ライフスタイル(art de vivre)を取り戻そう」と言及しています。
レストランの営業許可に合わせる形で夜間外出禁止の開始時間が21時に変更されます。
全ての商店、ミュージアム、劇場、映画館再開
食料品や一部の生活必需品をのぞく全ての商店が再開されます。また、劇場、映画館、美術館、博物館およびスポーツ観戦なども屋内800人、屋外イベントも1000人を上限に許可されます。
6月9日からカフェ、レストラン店内営業、スポーツジム再開、外出は23時まで
この段階で、夜間外出禁止は更に延長され23時からとなり、約1年ぶりにカフェやレストランの店内飲食が可能になります。但し、一つのテーブルに6人までというルールは変わりません。
さらにスポーツジム、プールの営業も再開されます。
企業に対しては、テレワークの義務が緩和されます。詳細は5月10日にカステックス首相が発表する予定となっています。
見本市やイベント、スポーツなどの競技場も5000人まで収容可能になりますが、入場者に対し「コロナパスポート」の所持が求められます。
《コロナパスポート》導入、外国人観光客受け入れ、イベントやスポーツ観戦
シェンゲン条約加盟国間の自由な往来の再開が急務となる欧州議会において、現在急ピッチで導入のための議論が行われています。
コロナパスポートは、
1)EUが認可するワクチンの接種を受けている(ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソン)
2)72時間以内のPCR検査陰性証明
3)すでにコロナに感染し、免疫が維持されている
のいずれかに該当する人に与えられるもので、記載される情報はシェンゲン条約加盟国で統一されます。
コロナパスポートを所持していなくても、シェンゲン条約で約束されている「移動の自由」は基本的に守られているとされています。EUとしてはワクチン接種を促す意図もあるようです。
EU議会で検討されるのは、あくまでシェンゲン条約加盟国間の移動に限られており、コロナパスポートのその他の活用に関しては、各国に委ねられています。
例えば、ロシア製や中国製のワクチンもコロナパスポートの所持者と同じ扱いにするかは、それぞれの国が決めることになります。
同じく、このパスポートを国内でどのように活用するか、例えば大きなイベントのみ提示が必要なのか、レストランやミュージアムの入場にも義務付けるかなども各国の判断に委ねられます。
すでにワクチンの接種が進む「アメリカ人観光客の受け入れをこの夏から開始する」と発表するなど、EUは観光業の復活を急いでいます。特に観光に依存度の高いスペイン、イタリア、ギリシャといった南ヨーロッパの国々から強い要請を受けています。
ロックダウン解除の日程が変更になる可能性
人口10万人に対し400人以上の感染者、感染者の激増、救急病棟の逼迫のいずれかが起こった場合、今回発表された日程や条件が変更される可能性は大いにあります。
そうならないことを祈りますが…。
執筆:マダム・カトウ