パリ市の1区~4区が2020年に統合されます。2017年2月に議決された統合ですが、統合後の新しい区の名称をパリ市が募集しています。
パリの歴史的中心部、1区~4区を統合
統合される4つの区は、ルーブル美術館をはじめ、ノートルダム寺院、パリ市庁舎、ヴォージュ広場のあるマレ地区など、世界遺産や観光名所が多く存在するパリの歴史的中心地区でもあります。
パリ1区の人口はたったの1万7000人、これに対し15区は24万人と、1区はパリ市内でもっとも小さい区にあたります。統合後は4区合わせて10万人ほどになります。
また、現在この4区はそれぞれの区長に代表されていますが、2020年の市議会議員選挙で4つの区を代表する新区長が1名選ばれることになります。
統合後の新しいネーミングを募集
パリ市はサイトで7月2日から新しい区の名前の募集を開始し、すでに今現在263件の提案が集まっています。
その中には、「パリ中央区」(Centre de Paris)や「パリ中心区」(Coeur de Paris=パリのハート)などのより実用的な名前から、シテ島(西半分は1区と東半分は4区)に象徴されるパリの祖先の名前から取った「ルテティア地区」(Secteur Lutèce)、また「ボボランド」(Boboland)(注)などのふざけたものや、映画のタイトルにちなんだ「ファンタスティック・フォー」(Les 4 Fantastiques)まで、さまざまなアイディアがあります。
県としてのパリと市としてのパリも統合
パリは行政上、県(département)と市(commune=フランスの最小行政区、市、町、村)の2つの区分を持っています。また、パリを含むイル・ド・フランス県(L’île-de-France)の首府でもあります。
イル・ド・フランス県庁(Préfecture d’île-de-France)とパリ県庁(Préfecture de Paris)は、2011年からパリ及びイル・ド・フランス県庁(Préfecture de Paris et d’île-de-France)として、15区にある同じ建物内に存在します。また、ミッシェル・カド(Michel CADOT)県知事(préfet)は両方の知事を兼ねています。
2020年の統合後は「パリ県」がなくされ、「パリ市」(Ville de Paris)のみになります。
住民からは不安の声も
役所の効率化を目指すのが目的と言われている統合ですが、これによりパリ市長の権力が強化されるため、右派、左派ともに反対派の議員が根強くいます。また住民からは、「近所の区役所がなくなるなど不便になるのでは?」と、不安の声もあがっています。
郵便番号は変わらず
数字75から始まり区の番号で構成されるパリの郵便番号ですが、1区は75001、2区は75002、3区は75003、4区は75004と、統合後も現在の番号が利用されます。
締め切りは7月15日、発表は2018年末から2019年初頭
あと10日ほどで締め切りとなる統合区のネーミング募集ですが、2018年末から2019年初頭に行われる住民投票(référendum)の後、パリ市議会で決定されます。
住民投票とはいえ、パリ1~4区に住んでいる住民全員が対象ではなく、この4区いずれかの住所で、選挙人名簿に登録されている18歳以上のフランス人が対象になります。(EU28ヶ国国籍で選挙カードを持っている住民は対象外)
投票はできなくても、応募はパリの住民ならだれでもできます。パリの新しい区の名付け親になってみては?
※パリ市のサイトのネーミング募集ページはこちら
(パリ市のサイトにアカウント登録すれば応募が可能。)
(注)ボボ(BOBO)とは「ブルジョア・ボヘミアン」(bourgeois-bohème)の略語。いわゆる伝統的なお金持ちではなく、洗練されて文化に関心があり、リベラル思考を持ち、且つお金に困っていない人たち。マレ地区に多く見かけられる。
参考記事:パリの最先端・北マレ地区で話題のカフェ「Merci」
執筆:マダム・カトウ