9月20日(火)、フランス新型コロナ第7波のピークから約2ヶ月に渡り減少が続いていた新規感染者数は、9月に入り再び増加に転じました。秋になり気温が下がり始めたことから、このまま第8波に突入するのか、一時的な増加か、フランス政府は今後の動向を注視しています。
短期の増加か、第8波の到来か?新規感染25,000人
第7波のピーク、7月中旬の直近7日平均での1日の新規感染者は約13万人でしたが、その後減少に転じ、8月末には15,000人ほどに減少していました。
そのため今年の9月には、3年ぶりに学校内でのマスクを着用しない新学期を迎えることができました。
しかしながら、減少スピードが鈍化し、9月6日には再び上昇に転じています。
フランソワ・ブラン(François Braun)保健相は、ラジオのインタビューに答え「第8波というにはまだ早すぎるが、(感染拡大の)裏付けとなる指標は全て上昇している」と述べています。
すべての指標、上昇傾向
その指標の一つ、基本再生産数(一人の感染者が感染させる人数)は「1」を超えており、感染が拡大傾向になっていることを示しています。
感染者数は地域により傾向が異なりますが、現在最も数値の高い県の一つ、東フランスのアルデンヌ県(Ardennes)では住民10万人当たり374人が感染しています。
現在、直近7日平均の1日当たりの新規感染者数は25,000人前後で推移し、入院者数は前週比で10%上昇しています。
唯一、死者数だけは今の所上昇に転じてはいませんが、入院者数よりさらに遅れて増加し始めるのがこれまでの傾向からわかっています。
ブラン保健省は、これらの指標からすべての専門家が「第8波は避けられない」と分析していることから、政府として警戒していることを明らかにしました。
秋の感染拡大、避けられない
過去2年間に渡り、新型コロナの感染拡大には季節性があることがわかっています。つまり、気温が下がる秋、冬に時期に感染拡大が顕著になります。
また、昨年7月と10月に2回拡大の波がきたデルタ株のように、必ずしも新しい変異株やその派生型が登場しなくても拡大の波がくることがわかっています。
パリ、テノン(Tenon)病院の感染症専門医、ジル・ピアル(Gilles Pialoux)氏は、第8波が避けられない理由として、「屋内での社会活動の増加(マスク着用義務なし)、1回目のブースター接種からすでに半年以上経っていることにも関わらず、2回目のブースター接種をした人がごくわずかであること」を挙げています。
執筆:マダム・カトウ