5月11日(水)、フランスの高校卒業資格にあたるバカロレア(baccalauréat)試験がスタートしました。コロナウイルスの感染拡大による影響で、2年ぶりにマスクなしでの試験実施となります。
約52万人が受験の専門科目
今年度は普通バカロレアの試験を約38万人、技術バカロレアの試験を約14万人、そして職業バカロレアの試験を約19万人が受験する予定です。このうち5月の専門科目試験には約52万人が挑みます。
専門科目の試験は11日(水)から13日(金)までで、数学、経済・社会学、歴史・地理、政治学が含まれます。
採点結果は、6月の最終試験と併せて7月5日に発表されます。昨年のバカロレア取得率は92%です。
3月から延期
本来これらの試験は3月に実施予定でしたが、コロナウイルスの問題から5月に延期されていました。この延期にともない、専門科目の成績は、高等教育入学者調整手続き(parcoursup)(※)に含まれません。
この専門科目はバカロレアの総合点全体の3分の1を占めますが、すでに進学予定先から入学許可を受け取っている学生も少なくなく、「バカロレアは形のみ」だという意見も見られます。
反対に入学許可があるからこそ、よい成績をとらなければならないというプレッシャーを感じている学生もいるようです。
※Parcoursupは、受験生が希望する進学先を10校まで登録するシステムで、高校での成績などを入力し、高等教育機関から入学許可を受け取ることができる。
コロナ対策ほとんどなし
コロナ対策については、今年度のバカロレアで国民教育省はなんの制限措置も実施していません。
2020年度はコロナウイルスの感染拡大により試験が中止され、高校の内申点のみでの評価となりました。また、2021年度も内申点の比重が高いままで、フランス語と「哲学」科目のみが論述で行われるなどの特例措置が取られました。
よって今年度は2年ぶりに、マスクの着用のない試験実施となり、ようやく「コロナ前の」バカロレア試験の光景に戻りつつあります。
内申点重視の評価へ改革
マクロン政権は2019年以降、バカロレアにおける内申点の比率を上げる方針をとっています。これにより現在、バカロレアの総合得点における内申点の割合は40%であり、60%を筆記などの試験が占めます。
これは一発勝負の試験の負担を軽減する、また採点や試験実施に動員される教員や現場の負担を減らすなどの理由にもとづいています。
一方で内申点の評価基準を学校、クラス、教師間で統一するのは難しく、試験の公平性を疑問視する意見もあります。第二次マクロン政権での方針にも注目です。
執筆あお
参照
L’étudiant HP
フランス国民教育省 Les enseignements de première et terminale générales et technologiques