フランスの小学校では1月13日(木)、職員組合による大規模なストライキが計画されています。政府が教育機関におけるコロナ対策を緩和したことへの反発や、これまでのコロナ対策への不満が原因です。
保護者評議会連盟(FCPE)に対しても、学校に児童を登校させないよう要請が出されています。
ストライキの背景
フランスの小学校職員組合(SNUipp―FSU)によると、13日には75%の教員が出勤せず、約半数の学校を閉鎖し、ストライキを起こす予定です。
教育機関における感染対策の緩和
10日夜(フランス時間)、ジャン・カステックス(Jean Castex)首相はテレビ局France2で、教育機関におけるコロナウイルスの感染対策を緩和することを発表しました。
発表によれば、14日(金)から、児童がコロナ陽性者と濃厚接触した場合でも、自主検査による陰性の結果と、保護者による証明があれば登校することができるようになります。現行の規制では、濃厚接触の場合はすべての児童がPCR検査または抗体検査を受けることが義務付けられています。
通達遅れる
このような規制緩和にも関わらず、ジャン=ミッシェル・ブランケール(Jean-Michel Blanquer)教育相は11日昼になっても公式報道を行わず、教育機関や校長へも通達がないままでした。
12日夜現在は、すでに国民教育省からの情報が更新され、カステックス首相の発言通り、感染対策の緩和策が14日から適用される見通しです。
Le protocole sanitaire #Covid19 a été adapté afin de faciliter le quotidien de tous, tout en protégeant chacun. Ces nouvelles mesures s’appliqueront dès le 14 janvier.
Des questions ? Consultez notre FAQ https://t.co/eBGOASNC4a pic.twitter.com/TfIaLGqYVR— Ministère Éducation nationale, Jeunesse et Sports (@education_gouv) January 12, 2022
近年の教育政策全体に不満
職員組合は、以上のような政府の直近のコロナ対策への反発に加え、対面とオンラインのハイブリッド体制が整わない状況や、人員補充の対応などが行き届いていないことへの不満も募らせています。
そして職員組合は、13日のストライキ以降、新たに感染対策やスタッフ採用に必要な運動を行う予定です。このような政府への「怒り」は、今に始まったものではなく、「学校を腐敗させ、(学校関係者を)正しく理解しない」数年来の教育政策に由来するものとしています。
保護者連盟もスト協力するか
職員組合のみならず、保護者連盟も今回の緩和策には同意しておらず、この2日間で措置を変更することにも怒りを表しています。
保護者連盟がストライキに賛成するのは珍しいことでありながら、今回は職員組合の呼びかけに応答しストを行うことが予想されています。
スト時には地域が児童を受け入れ
なおストライキが実行されたとしても、児童が行き場を失うことはありません。2008年以降、学級閉鎖の場合であっても無償で地域が児童を受け入れる「最小限の受け入れサービス(”service minimum d’accueil”)」があるためです。
4分の1以上の教師がストライキに参加した場合、地域は多目的室などを開放し、幼稚園アシスタントや課外活動センターの職員、また保護者などが協力し児童の面倒を見ることになっています。
人員不足などを懸念
しかしコロナ禍で地方行政の人員が不足し、今回のストライキ時の受け入れ体制が徹底しているかは不明瞭です。
地域によっては、このサービスを利用するために事前の申し込みが必要であったり、保護者が病気の場合などに限って受け入れ可能とするなど、通常時とは異なる体制となっている点に注意が必要です。
執筆あお
参照 フランス国民教育省 Covid19 : documents d’information pour les écoles et établissements