コロナウイルス感染者数の再増加を受け、フランス政府内では、民間企業に対し、テレワークによる労働の基準を再び設けることが議論されています。
第5波対策
先週と比べ、新規のコロナウイルス感染者数が38%増加しているフランスでは、「第5波」対策として再び政府によるさまざまな規制がかけられることになるかもしれません。
再びテレワークへ?
フランス学術評議会(Conseil scientifique)会長のジャン=フランソワ・デルファシィ氏(Jean-François Delfraissy)は、11月18日のインタビューで、3回目のワクチン摂取、感染対策措置、またコロナパスポートの適用を対策として挙げました。
加えて、可能な限り、オフィス勤務からテレワークを活用することを強調しています。
政府内で意見の相違か
デルファシィ氏はテレワークの活用を「政治的決定」「政府と企業による対話の結果」としていますが、エリザベット・ボルヌ(Élisabeth Borne)労働・雇用・社会復帰大臣は11月あたまの時点でテレワークを想定していませんでした。
また、政府報道官のガブリエル・アタル(Gabriel Attal)氏も、18日の閣僚会議の後では「追加措置はない」としています。
一方、ヴェラン保健相は18日のインタビューで(テレワークを)「行いうる措置のひとつ」と回答しています。このように政府内ではさまざまな意見があるようで、正式な措置は発表されていません。
新年度からはテレワーク義務が撤廃されていたが…
フランスでは9月1日より、民間企業に対して、テレワーク勤務を行うべき最低日数の基準を撤廃しています。この結果、雇用省調査統計局(Direction de l’animation de la recherche, des études et des statistiques, Dares)によるとテレワーク率が急減し、9月の時点でテレワークを採用する企業の割合は「低空飛行」の状態です。
人事労務管理責任者全国協会(Association nationale des DRH,ANDRH)による6月時点の調査によると、調査対象である人事責任者270名のうち、23%が「秋以降は100%オフィス勤務に戻したい」と回答し、34%が「1日あるいは2日のみテレワークが良い」と回答していました。
また、新年度以降は、わずか21%の従業員のみが、少なくとも週1回のテレワークを行っているとわかっています。
テレワークへの低関心
9月の規制緩和により、少なくとも週1回のテレワークを行う対象となる会社員の割合が(会社員全体の)10%にとどまり、8月末時点での19%より減少しました。
そもそもテレワークを導入する対象となる会社員数が低いことから、フランス企業ではテレワークへの関心が低いことが読み取れます。
執筆あお