マクロン大統領、エネルギー分野など投資計画を発表 5年間で300億ユーロ

2021.10.14

フランス 投資10月12日(火)フランスのマクロン大統領は、『フランス2030』と題し、むこう5年間の産業・技術政策についてスピーチを行いました。マクロン大統領は、2022年4月の大統領選で再戦を狙うと見られますが、どのような計画を構想しているのでしょうか。

 

5年間で300億ユーロの投資 『フランス2030』

マクロン大統領は大統領官邸にて、経営者や学生など約200名を前に1時間半超のスピーチを行いました。そこで打ち出したのが、『フランス2030』であり、これはフランスの産業・技術分野における国際競争力を向上させることを目的とする計画です。

「フランスの成長がある意味不足していることを受け」、「イノベーションと産業の戦略における大規模の投資」を行うとしています。また、「生産、輸出、また社会モデルへの出資を革新」し、「持続可能にする」ことを掲げました。

エネルギー、自動車、航空、宇宙開発などに重点投資

フランス政府によると、むこう5年間にわたり300億ユーロ(約3兆9500億円:1ユーロ131円で換算)の投資は、以下の分野に重点的にあてられます。

エネルギー分野(80億ユーロ)
ー小規模、革新的、廃棄物処理により優れた原子炉の導入
ー環境負荷の低い水素(生産)のリーダーとなる
ー産業の脱炭素化

物流分野(40億ユーロ)
ー電気自動車・ハイブリッド車、200万台の生産
ー二酸化炭素の排出が少ない航空機の開発

食品分野(20億ユーロ)
ー安全、持続可能、経路追跡の可能な食糧品(生産)への投資

医療・保険分野(30億ユーロ)
ーガンや慢性疾患のバイオ医薬品20種の生産

文化分野
ー文化・クリエイティブコンテンツの生産で、再びフランスを(世界)のトップに位置づける

宇宙・海底資源開発(20億ユーロ)
ー宇宙探索への協力
ー海底資源開発への投資

 

小型モジュール炉

以上の重点分野の中でも、エネルギー政策は最初に位置づけられました。とくに次世代の原子力発電のカギとなるのが、「小型モジュール炉(small modular reactors)」です。

この小型モジュール炉については、2019年7月に仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)、フランス電力会社(Électricité de France/EDF)などが共同開発プロジェクトNuwardを発表しています。

既存の原発炉は1基あたり1000メガワット以上の発電量のところ、この小型モジュール炉は1基あたり300メガワット以下の発電量であり、数台を連続して製作し、設置場所まで運びます。そのため、これまでの大規模な原発炉よりも、設置が比較的簡単と考えられています。

開発計画は順調…?

ル・フィガロ(Le Figaro)誌によれば、この小型モジュール炉の開発に関してフランスは、ロシアやアメリカ、カナダと比べて遅れをとっているといいます。

フランスでは北西部のフラマンヴィル(Flamanville)に大規模の新型原発(欧州加圧水型炉、EPR)を建設中で、この計画にかかる費用が肥大化していることや、当初の予定より建設が大幅に遅れているという問題への批判が積もっていました。

このような中、このEPR1基を除くとNuwardがはじめての開発計画であったのですが、こちらの計画もはたして順調に進んでいるのか、気になるところです。

大統領選にむけた議論が活発になるなか、マクロン大統領の今回のスピーチは国民にどのように響いたのでしょうか。

執筆あお

参照
France 2030: un plan d’investissement pour la france de demain
Le Figaro (12/10/2021) Que sont les SMR, ces mini-centrales nucléaires que veut développer Emmanuel Macron ?
EDF (17/09/2019)  CEA, EDF, Naval Group and TechnicAtome unveil “NUWARD”™: jointly developed Small Modular Reactor (SMR) project

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