6日(日)、フランス北西部、ブルターニュ地域圏(Région Bretagne)のディナール(Dinard)で5日(土)から二日間にわたって開かれていた主要7カ国(G7)外相会合で、フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン(Jean-Yves Le Drian)外務大臣と日本の河野太郎外務大臣が個別で会談を行い、フランス側が日本に、カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)容疑者に対し、「推定無罪の原則」の尊重を求めた、と明らかにされました。
主要7カ国(G7)外相会合
4月5日から二日間の日程でフランス北西部のディナールで行われた主要7カ国外相会合では、サイバー攻撃防止にむけた行動を強化することで合意した「サイバー規範イニシアティブに関するディナール宣言」や、各国の女性の活躍推進に向けて、女性が和平へのプロセスに参画できる環境作りの支援,平和の安定に貢献することの重要性に関する「女性、平和、安全保障に関するディナール宣言」などが採択されました。
サイバー規範イニシアティブに関するディナール宣言では、悪意のあるサイバー活動を非難し、そのような活動を防止する措置をG7が率先して講じていくことを宣言しています。
日本の河野外務大臣は、6月、8月、11月に開かれるG7やG20首脳会談に向け、イギリスのジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)外務大臣やフランスのル・ドリアン外務大臣と個別で会談し、電子商取引の分野で互いに協力していくことを確認しました。
日本の主権を尊重したうえで推定無罪の原則も尊重
フランスのル・ドリアン外務大臣は日本の河野外務大臣との個別の会談で、2018年11月に東京地検特捜部に金融商品取引法違反の容疑などで、4月4日(木)、4度目の再逮捕をされたカルロス・ゴーン容疑者の権利を尊重するよう要請しました。
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日本の司法制度の主権と自立を尊重
河野外務大臣との個別会談について、ル・ドリアン外務大臣は記者会見で「私は彼に、フランスは、日本の司法制度における主権と自立は完全に尊重している、と伝えた」と述べました。
推定無罪の原則も尊重
一方で「日本の『推定無罪の原則』と領事による保護の適用も尊重していると言った」と述べ、ゴーン氏の長引く拘束に対して懸念を表明しました。
推定無罪とは、「何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される」とする近代法の原則で、「有罪判決が確定するまでは、誰であっても犯罪者として取り扱われない権利」のことをいい、ル・ドリアン外務大臣は、ゴーン氏への処遇改善を求めています。
「容赦ない」日本の検察
ゴーン容疑者は逮捕される直前の4月3日(水)、フランスのテレビ局のインタビューに対して、日本の検察は非常に「攻撃的」で「容赦ない」と語り、フランス政府に庇護を求める旨の発言をして注目されていました。
また、ゴーン氏の妻のキャロル・ゴーン(Carole Ghosn)さんは、フランスメディアのインタビューに対し、「彼は最初の1週間で10キロ痩せた。熱があり、心臓病の薬も没収されていた」と語り、更にこれは陰謀であり、リンチだ、と非難しました。
キャロルさんは「エマニュエル・マクロン(Emanuel Macron)大統領に私の夫を監獄から出してもらえるように訴える」と述べていますが、大統領府はゴーン氏の状況に冷静に対処する、と回答しています。
日仏関係に影響は
河野外務大臣は記者会見で、自国民が外国で逮捕されたということは心配の種になることは理解している、としたうえで、日仏関係には影響はまったくない、と述べています。
また、「司法としては限界があるが、何かあれば言ってきてほしい」と述べ、捜査が適切な手順を踏んで行われていることを説明したとみられています。
執筆:Daisuke