欧州議会、トルコのEU加盟交渉を中断か

2019.03.14
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13日(水)、欧州連合(EU)の立法組織である欧州議会(le Parlement européen)は、フランス東部のストラスブール(Strasbourg)で開かれた総会で、トルコの欧州連合加盟に向けた交渉の中断を求める採択を行い、賛成340票、反対109票、棄権143票で可決されました。

 

トルコの欧州連合加盟交渉

政府の公式見解として自国をヨーロッパの国と位置づけているトルコは、経済的・政治的に積極的にヨーロッパと関わっていて、2005年から欧州連合加盟に向けた交渉を続けています。

ヘルシンキ宣言

1975年にフィンランドのヘルシンキ(Helsinki)で行われた全欧安全保障協力会議(Conference on Security and Cooperation in Europe、のちの欧州安全保障協力機構:Organization for Security and Co-operation in Europe)で締結された、紛争の平和的解決や国境の不可侵、領土の保全、国家主権の尊重、武力の不行使などを定めたヘルシンキ宣言(Helsinki Declaration)にも、ヨーロッパの一国として署名しています。

加盟交渉開始

その後、2002年に政権に付いたイスラム系を中心とする公正発展党(Adalet ve Kalkınma Partisi)のもとで、軍との距離を保ちながら人権問題に積極的に取り組む姿勢が評価され、2005年10月に欧州連合への加盟交渉が宣言されました。

コペンハーゲン基準

トルコが欧州連合に加盟するにあたり、常に問題となるのが、1993年にデンマークのコペンハーゲン(Copenhagen)で定められた、欧州連合への加盟が適切であるかの基準を定めたコペンハーゲン基準(Copenhagen criteria)です。

コペンハーゲン基準は、加盟を希望している国に対して、人権の尊重や民主的統治、市場経済が成り立っているか、欧州連合の義務と目的を受け入れるか、等が基準となっています。また、地理的な要件が大きく左右されます。

コペンハーゲン基準でヨーロッパと位置付けられているのは、上記の画像の部分で、東はロシアの一部、ジョージアやアゼルバイジャン、南はトルコのヨーロッパ側の一部、ギリシャなどが含まれています。

また、何を基準にヨーロッパとみなすかは、文化的・歴史的要因によっても左右されるため、地理的にはアジアとみなされているキプロスや、トルコよりも東にあるアルメニアなどはヨーロッパと認識されています。

 

国土の大半が「アジア」とみなされるトルコ

トルコは、国土のおよそ96パーセントがコペンハーゲン基準ではアジアとみなされているアナトリア(英:Anatolia)半島(地図オレンジ色部分)にあり、残り4パーセントのボスポラス(Bosporus)海峡を挟んだ東トラキア(英:Thrace)地方がコペンハーゲン基準のヨーロッパ(地図紫色部分)にあたります。

2016年のクーデター未遂事件

交渉開始後、欧州連合加盟に前向きだった欧州議会ですが、エルドアン(Erdoğan)大統領の権限強化とそれに対して2016年7月に起こったクーデター未遂などが原因で、欧州連合との関係は急激に冷え込みます。

更に、エルドアン政権はこれまでヨーロッパに偏っていた外交路線を改め、中国やロシアなどとの関係を重視、政治的に欧州離れが加速しています。

エルドアン政権の方針が交渉中断に影響

欧州議会は決議文書の中で、エルドアン政権化での、人権尊重・法による統治・報道の自由・汚職の改善における多大な懸念があるとし、大統領権限を強化し首相職を廃止したエルドアン大統領の強権的な政治などが、欧州連合への加盟交渉中断に大きく影響を与えているとみられています。

トルコは反発

今回の欧州議会の採決に対して、トルコ外務省は「今回のこの決議はアンカラ(トルコの首都)にとって何の意味もない」とし、加盟交渉に影響はないものとしています。また、エルドアン大統領の公正発展党のスポークスマンはツイッターで「欧州議会はもっとも右寄りの小さな窓から世界をみている」と欧州議会の決定を批判しています。

交渉中断は直ちに行われるものではなく、最終的な決定は、欧州理事会(Conseil européen)の判断に委ねられます。

執筆:Daisuke

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