12日(火)、エッフェル塔内にあるレストランが地元産のオーガニックな食品を使ったレストランとして、5月末に新たにオープンすると発表がありました。今後1年間は、パリを含むイル=ド=フランス地域圏内の食品生産者がこれらのレストランに食材を提供することになります。
Le Jule Verne
エッフェル塔は、フランスでも最も有名な観光スポットで、年間およそ600万人が訪れます。
エッフェル塔の2階部分にあるレストラン、ル・ジュール・ヴェルヌ(Le Jules Verne)は、昨年9月より始められた改修工事を経て、今年の5月末にリニューアルオープンします。
ル・ジュール・ヴェルヌは、地上およそ125メートルにある伝統的なフランス料理専門のレストランで、ミシュランガイドで一つ星を獲得しています。2017年7月14日のパリ祭(Le 14 Juillet/Fête nationale française)の際、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領とアメリカのドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が共に、ここで食事をとりました。
料理長アラン・デュカス氏
2007年から2018年までは、 パリの8区にあるオテル・プラザ・アテネ(Hotel Plaza Athenee)のレストラン「アラン・デュカス(Alain Ducasse)」や、モナコにある「ルイ・キャーンズ(Louis XV)」など、世界各地のレストランを経営すアラン・デュカス氏が料理長を務めました。
デュカス氏は、史上最年少でミシュランガイドの三つ星を獲得し、また異なる国で三つ星を獲得した初めての料理人として知られています。
二代目フレデリック・アントン氏
その後は、パリの16区にあるル・プレ・カトラン(Le Pré Catelan)で2007年以降ミシュランガイドの三つ星を獲得しているフレデリック・アントン(Frédéric Anton)氏が料理長を務めています。
アントン氏は、フランスで絶大な人気を誇っている料理対決番組「マスター・シェフ(MasterChef )」フランス版で、2010年から2013年の間審査員を務め、また、MOF(Meilleur Ouvrier de France)と呼ばれる国家最優秀職人章を授与されるなど、フランス国内で絶大な人気を集めています。
58 Tour Eiffel
エッフェル塔の1階部分にあり、地上から57メートルの高さに位置する58トゥール・エッフェル(58 Tour Eiffel)は、内部が2階構造になっていて、カジュアルな料理から本格的なフランス料理まで楽しめるレストランです。
名前の由来は、地上57メートルにあり、そこにピアノや調理台、客が座った時の高さである1メートルを足した58メートルがもとになっています。
ティエリ―・マルクス氏
責任者を務めるティエリー・マルクス(Thierry Marx)氏は、1996年にミシュランガイドの一つ星を獲得し、1999年に二つ目を、そして2004年には三つ目を獲得しました。また、2006年には、ミシュランガイドと同じ影響力を持つレストランガイド「ゴー・エ・ミヨ(Gault et Millau)」で、シェフ・オブ・ザ・イヤーに選ばれています。
2010年から2014年までトップシェフの審査員を務めたり、漫画の登場人物として描かれるなど、フランスでは絶大な人気を誇ります。
2012年には芸術文化勲章(Ordre des Arts et des Lettres)のシュバリエ(Chevalier)を、2013年にはフランスで最も権威があるとされているレジオン・ドヌール勲章(L’ordre national de la légion d’honneur)のシュバリエが授与されています。
地産地消のシンプルなメニューを
従来より、地元の食材や、素材本来の味を活かした料理を推奨しているマルクス氏は、「地元の食材で、フランス料理のノウハウを生かしたシンプルな料理を」と述べ、地産地消のメニューを提供すると明らかにしました。
シャルトル(Chartres)、オルレアン(Orléans)、パリの間で、有機農法を行っていて、安定的に質のよい食材を提供することのできる農家を探し、イル=ド=フランス地域圏の生産者が1年間二つのレストランに食材を提供することになりました。
食品業界の責任
マルクス氏は、「2050年には、我々飲食業界は、社会と環境の重要な責任を負うことになるだろう」と述べ、大量生産、大量消費に対する警鐘を鳴らしています。
パリを訪れた際には、エッフェル塔で地産地消の料理を味わってみるのもいいかもしれません。
執筆:Daisuke