名詞の前で意味が変わる「フランス語の形容詞」

2017.04.12
シャルル・ド・ゴール

今回はフランス語の形容詞についてお話ししたいと思います。フランス語学習の初期の段階で習うのに、けっこう厄介なのが形容詞。だって、修飾する名詞の性数に一致させなければならないんですもの!特に男性形と女性形で大きく異なるものは数が少ないとはいえ、丸暗記しなければならないので大変です。

 

位置で意味が変わる フランス語形容詞

そして、フランス語の形容詞はその「位置」にも気をつける必要があります。名詞にくっつけて修飾する際、英語では形容詞を名詞の前に置きますが、フランス語では原則として名詞の後ろに置くのが決まりです。

ところが形容詞の中に、名詞の前に置いても良いものがあります!これらも少数派とはいえ、少しずつ覚えていかなければならないのでまた厄介。よく使われる物が多いんですけど。例えば  bon/mauvais, grand/petit, long/court, vieux/jeune, beau etc. ・・・書き出してみると対義語が目立ちますね。

こういう「名詞の前にも置ける」タイプの形容詞は上にもいくつか挙げたように、最大2音節(有音の母音が2つ)までの短いものがほとんど、という特徴があります。まあ中には 「une excellente idée」(excellente = 3音節)のような例外もありますが。

さらに注意すべきなのは、これらの形容詞の中に「名詞の前にくると意味が変わる」ものが存在すること。いくつか代表的な例をご紹介しますね。

名詞の前に置くと意味が変わる形容詞

Un homme grand = 背の高い人

Un grand homme = 偉人

形容詞「grand」が名詞の前に来ると、「偉大な」という意味を持つんですね〜。他にも un grand réalisateur(偉大な映画監督)、une grande idée(高尚な思想)などなど。ちなみに「Un grand homme」の「d」はリエゾンの際に「t」の音で発音され「アン・グラン・トム」となるでご注意を。

ここでいきなり余談ですが、「Un homme grand」と「Un grand homme」、両方に当てはまる世界的に有名なフランス人といえば、この人が真っ先に浮かびました。それは

Charles de Gaulle(シャルル・ド・ゴール)

そう、冒頭の写真の方です。ナチスドイツ占領下のフランスレジスタンス運動の指導者!第五共和制の初代大統領も務めた、まさにフランスの偉人です。この方、なんと身長が2m近くもあったそうで・・・

シャルル・ド・ゴール

ほんとうに Un grand homme grand (背が高い偉人)ですね。

 

話を本題に戻しまして「名詞の前に来ると意味が変わる形容詞」、他にも2つほど日常生活でよく耳にするものを挙げておきますね。

Un ami vieux = お年寄りの友人

Un vieil ami = 旧友

上を使うことはあまり無いと思いますが(苦笑)、形容詞「vieux」は名詞の前に来ると「古くからの」という意味に変わることがあります。「旧友」に関しては英語でも「old friend」と同じ言い方をするみたいですね。

 

そして最後、いつ聞いてもその由来が気になってしまう・・・

Mon beau-père / Ma belle-mère   =   私の義理の父 / 母

形容詞「beau」は親族関係の名詞の前では「義理の(相手方の)」という意味に変わってしまいます。なぜ「美しい→義理」に!? うーん、相手方の親族に気に入られようとして「beau」をつけて褒めたのが始まり?真相が気になるところです、由来をご存知の方はぜひお知らせください。

 

あとがき

さて長くなりましたが、改めてフランス語の形容詞は奥が深いと感じますね〜。語尾変化に位置に、ややこしい規則が多くて大変ですが、ここをマスターすればフランス人に感心されるフレンチスピーカーになること間違い無し!お互いに勉強頑張りましょう。

執筆 Miwa

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