フランス 3つの社会問題が浮き彫りに

2020.02.25

不平等

フランスは他の先進国と比べても社会福祉がしっかりしている国です。また、最近では雇用も回復しつつあり給与額も増加傾向です。しかし、2月24日(月)の報道によると地域間格差が広がっていること、教育の質が低下していること、不動産価格が高騰しているなどの問題があることが指摘されました。

 

公共サービスの地域間格差

まず、公共サービスに地域間格差があります。大都市以外の地域では公共サービスの質が落ちてきています。例えば、地方では医者の数が圧倒的に足りていません。3つに1つの地域で、37パーセントのフランス人には身近に医者がいない状態になっています。また、公共交通機関のサービスも充実していないので、このような地域の住民は疎外感を抱いています。

 

教育の質の問題

フランス企業で管理職に就いている男性の内、父親が管理職の人の方が一般職または労働者の人よりも12倍多いというデータが出ています。父親が一般職または無資格の労働者の人で管理職に就いている人の割合は8パーセントにとどまっています。

この原因の1つは教育の質です。経済協力開発機構(OECD)による国際的な生徒の学習到達度調査「PISA」では、フランスで親が高等教育を受けている子供と受けていない子供の学力の開きが他の国と比べて顕著に大きくなっています。このことから、フランスの教育制度が家庭環境による子供の学力差を縮めるという成果をあげられていないと言えます。

もう1つの原因は、他の先進国と同様にフランスでも中間職が減ってきていることです。これは特に採石業、建設業、製造業といった第二次産業、もしくは第二次産業に関連する企業で雇用の削減が進んでいることによります(フランスの加工工場では、この20年間に雇用が25パーセント減少しました)。これにより、労働市場は資格が求められるが高い給料を得られる職と、ほとんど何も条件はないが給料が低い職に二極化しています。この状況の中で、親が労働者や一般職の人々は、親よりも地位の高い職に就くのが難しくなっています。

第一次産業:鉱業(日本では第二次産業に分類)、農業、林業、漁業
第三次産業:電気やガスなどのインフラ関連産業、運輸や通信業、小売やサービス業、金融・保険業、不動産業、公務などの、第一次、第二次以外の産業

 

不動産価格の高騰

フランス社会の3つ目の問題は不動産価格が高騰していることです。世帯ごとの収入における不動産への負担の割合はこの20年間で38パーセント上昇しました(賃貸・持ち家を合わせたデータ)。また、不動産市場は成長しておらず、売買の動きが非常に少ない状態になっています。

これらの問題に対応するため、フランス政府は地方都市の公共サービスを充実させることを検討しています。また、不動産価格を安定させるための建設計画も立てています。

執筆・Shunsuke

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