フランス国鉄、ストのお詫びにTGVのチケット300万枚を格安で販売

2018.05.11

TGV-France

3月末に始まり4月から長期化するストライキで電車離れした乗客を取り戻そうと、フランス国鉄は本日、夏のバカンスシーズンに向けた300万枚の高速鉄道TGV(Train à Grande Vittesse)のチケットを40EUR(約5300円)以下で販売することを発表しました。

 

長引くストで利用客の電車離れを危惧

5月15日~8月31日までの間、TGVおよびインターシティ(Inter-City)全行き先のチケット300万枚が40EUR(約5300円)以下で販売されます。
フランス国鉄は、4月3日から6週間に渡るストライキで電車離れした利用客を取り戻そうと、この割引キャンペーンを開始します。
さらに5月23日~8月31日までの間、通常50EUR(約6500円)~75EUR(約9750円)の若者、高齢者、子供向けの各種割引カードが一律29EUR(約3770円)で販売されます。

 

定期代の割引

TER(Transport express régional 地域圏急行輸送)利用者にはすでに、定期代50%の割引が行われています。
フランスでもっとも利用者の多いイル・ド・フランスのRER(Réseau express régional 首都圏高速鉄道網)の定期代の割引に関しては、5月17日にフランス国鉄社長のギィヨーム・ぺピ(Guillaume Pepy)と国鉄利用者団体代表者らが、イル・ド・フランス地域圏知事ヴァレリー・ペクレス(Valérie Pécresse)の元で話し合い、決められます。
ぺピ社長はすでに、「少なくとも50%の割引をする」と公表しています。

 

5月末までの列車の運行状況を事前に公表

スト開始から今日まで、フランス国鉄はストの日の列車運行状況は前日の夕方にしか公表しておらず、「遅すぎる」と利用者の非難を浴びていました。
ぺピ社長は各種割引による営業努力のほか、5月末までの運行状況を事前発表することで、乗客への情報発信にも努力する姿勢を見せています。

 

利用者団体はそれでも不満

公共交通機関利用者団体、FNAUT(Fédération nationale des associations des usagers des transports) のメンバーであるクリスチャン・ブルカレ(Christian Broucaret)氏は、「TGVの1年間の利用者は1億人。300万枚の割引チケットは全体のたったの3%に過ぎない」と不満を表明しています。

 

ストでの損失、推定300万ユーロ

今回の長期ストライキによるフランス国鉄の損失は、運賃割引費用も含め300万EUR(約3億9千万円)と推定されていますが、スト終了のメドは立っておらず、最終的なストによる損失額は不明です。

 

政府と組合の折り合いはつかず

ストライキの間、毎週のように政府と組合との話し合いが行われていますが、今のところ双方歩み寄りの兆しは見えず、物別れで終わっています。
本日も、エリザベット・ボルヌ(Elisabeth Borne)交通担当大臣 (Ministre chargée des Transports)と組合4団体の会合が予定されていましたが、組合の中でも強硬派のCGT(Confédération générale du travail)とFO(Confédération générale du travail – Force ouvrière)は参加を辞退しています。

 

夏のバカンス時期はどうなる?

利用者にとって気になる6月末以降、つまりフランスの夏のバカンスシーズンである7月~8月の間もストライキが行われるかはまだわかっていませんが、ぺピ社長は「懐疑的」と発言しています。

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執筆 : マダム・カトウ

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