1月24日(金)、年金改革に反対するフランスの交通ストライキは開始から約1か月半が経過しました。一旦中断され交通が回復してきましたが、本日新たにストやデモが行われています。交通不便の長期化にもかかわらず、国民の改革反対運動への高い支持は変わっていません。
フランス国民の29%がスト中止を希望
調査会社BVAが1月22~23日に1005名を対象にオンラインで行った世論調査によると、回答者の約70%が《年金改革反対運動を続けるべき》と答え、《反対運動は中止すべき》の29%を大幅に上回っています。
12月5日のスト開始直後に行われた別の調査においてスト支持は68%であったことから、フランス国民の年金改革反対運動への支持は全く衰えていないといえます。
フランス国民の66%が大統領に不信感
マクロン大統領の人気は昨年10月から下降が続いています。《良い印象を持っている》人は回答者の33%で、三か月前の同様の調査からさらに4ポイント下がっています。
一方、大統領に《不信感を持っている》と答えた人は全体の66%に上り、フランス国民の多くが不支持を表明しています。
年金改革で矢面に立たされているフィリップ首相(Edouard Philippe)も支持率は37%と前回より3ポイント下落し、62%の国民に《不信感》を持たれています。
首相の支持率は、特に野党の共和党(Les Républicains)支持者の間で10ポイントの大幅減となっています。逆に与党の共和国前進党(La République en marche)支持者の間では3ポイント増えています。
わかりにくい《新制度》 未知への不安
年金改革を行う政府への不信感が反対運動への高い支持率を保っている一因といえますが、もう一つの大きな要因として、今回の年金改革の柱の一つ、職種別などで40以上もある現在の年金機構を一つの新制度に移行するという《大きな変化に対する国民の不安》が挙げられます。
フランスの大手ラジオRTL社が12月中旬に依頼した世論調査で、回答者の65%が《年金新制度が不安》と答えています。新制度が《より平等のようだ》《現行制度と変わらない》と答えた人は38%で、前回の調査より7ポイント減っています。
さらに、《新制度はわかりやすい》と答えた人は10ポイント減の33%で、多くのフランス国民が新制度をよく理解していないことがわかります。
執筆:マダム・カトウ