4月15日(月)の大規模な火災で屋根と尖塔が崩落したノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Paris)ですが、その二日後の17日(水)にエドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)内相が、再建に向け、再建案国際コンペティションを行うと発表したことで、世界中から斬新で奇抜なアイデアが集まっています。
ノートルダム再建法案が可決
5月10日(金)夜から11日(土)早朝にかけて、ノートルダム大聖堂再建法案が国民議会( Assemblée nationale)で審議され、賛成32票、反対5票、棄権10票の賛成多数で可決されました。この法案は5月27日(月)から元老院(Sénat)で審議され、正式に可決されるとみられています。
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コンペティションに向けて奇抜なアイデアが続々
ノートルダム大聖堂の再建に向けた国際コンペティションの詳細に関しては、現時点ではまだ明らかになっていませんが、既にネット上では多くの建築家やデザイナーたちが斬新、奇抜なアイデアを出し合っています。
建築家のアレクサンドル・シャッサン(Alexandre Chassang)は、「我々は過去のイメージを模倣で再現するつもりはない。それはルーブル美術館にモナ・リザのレプリカを展示するようなものだ」とツイッター上で述べ、全く同じものを再建することに対し、異議を唱えています。
一番オーソドックスなアイデアのロシア人建築家
「 物事は変わる。 ノートルダムは、例えどれほどうまく修復されたとしても、同じものになることは決してない」とツイートした、アレクサンドル・ネロブニャ(Alexander Nerovnya)氏のアイデアは、石とガラスで屋根を作るもので、比較的オーソドックスなものです。
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天まで届く尖塔
「ゴシック時代、建築家は空を目指していた。今はそれが実現可能だ」と「天と地を結ぶ軽量のアーチ」と名付けた、空に向かって光が放たれる高くそびえた尖塔を考えたスロバキアの設計スタジオ、ヴィツム・アトリエ(Vizum Atelier)。
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全面ステンドグラスの屋根
「ノートルダムで一番優れているもの、ステンドグラスを利用すること」と、屋根全体をステンドグラスで覆うアイデアのアレクサンドル・ファントッツィ(Alexandre Fantozzi)氏。
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屋上緑化を提案したフランスの設計事務所
フランスの設計事務所アロフ・アルシテクチュール(AllofArchitecture)は、屋根内部を温室にして緑化を提案。内部には回廊を設け、更に尖塔部分養蜂場となり、蜂蜜がとれます。
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クリスタルの屋根で美しく
イタリア人建築家マッシミリアーノ・フクサス(Massimiliano Fuksas)氏は、屋根すべてをクリスタルにして光り輝くノートルダムを提案。
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尖塔は金属でできた炎
フランスのデザイナー、マテュ―・レアヌール(Mathieu Lehanneur)氏は、「新しい尖塔を作るべき」と金属製の炎をイメージした尖塔をデザイン。
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専門家などからは反対意見が
これに対し、先月末には、文化財の専門家や学者などおよそ1,000人が、「急いで再建案を決めるべきではない」との意見を提出しています。
また、同時期に行われた世論調査では「火災前の姿への忠実な再現」を求める意見が54パーセントに達するなど、コンペティションそのものを問う声が多く上がっています。
ノートルダム大聖堂が新しく生まれ変わるのか、それとも元の姿を取り戻すのか。しばらく議論は尽かなさそうです。
執筆:Daisuke