8日(水)以降、フランス北西部のブルターニュ地方(Bretagne)の更にその先端、フィニステール(Finistère)県のプルガステル=ダウラ(Plougastel-Daoulas)村では、数年前に海岸で見つかった数世紀前のものとみられる、文字が刻まれた石が注目を集めています。村はこの文字を解読できた人に対し、2,000ユーロ(およそ24万7000円/1ユーロ:123円計算)の賞金を払うとしています。(写真はエジプトのロゼッタストーンの複製)
およそ300年前の石が発見される
今回話題となっている石は、フィニステール県のプルガステル=ダウラ村のカロ岬(Pointe du Caro)の海岸で数年前に見つけられたもので、石には文字が刻まれています。
Sur la presqu’île de Plougastel-Daoulas (Finistère), un rocher laisse apparaître une énigmatique inscription, datant peut-être du XVIIIe siècle. Pour lever le mystère de sa signification, la commune a lancé un appel national doté d’une prime de 2.000 euros 📹 @sanferrer #AFP pic.twitter.com/ch1YSVdHRq
— Agence France-Presse (@afpfr) 2019年5月8日
石の存在が明らかになったのはつい数年前で、石は300年ほど前の18世紀前後のものとみられています。
フィニステール県は潮の満ち引きの差が非常に大きいことで有名で、この石が干潮時にしか姿を現さなかったことから、最近になるまで発見されなかったということです。
フランス版ロゼッタストーン
今回のこの文字が刻まれた石は、フランス版のロゼッタストーン(仏:Pierre de Rosette/英:Rosetta Stone)として話題を集めています。
ロゼッタストーンとは、1799年にエジプトの地中海沿岸にある湾岸都市ロゼッタ(Rosetta/アラビア語:رشيد 、ラシッド)で見つかった石板で、古代エジプトの都市メンフィス(Memphis/アラビア語:منف、マンフ)で、紀元前196年にプトレマイオス5世(仏:Ptolémée V/ギリシャ語:Πτολεμαίος Ε’ Επιφανής)によって出された勅令が刻まれています。
碑文は古代エジプトで使われていた、神聖文字「ヒエログリフ(Hieroglyph)」、民衆文字「デモティック(Demotic)」そしてギリシャ文字の三種類の文字で刻まれています。
現在のところ何語なのかわかっていない
プルガステル=ダウラ村で見つかった石に刻まれていた文字について、「バスク語(le basque、フランス南西部、およびスペイン北東部一帯のバスク地方で話されている言語)や古いブルトン語(le breton、ブルターニュ地方で話されている言語)ではないかという意見が出ているが、現時点では解読は出来ていない」と、ドミニク・カップ(Dominique Cap)村長は話します。
この石には、マストを張った船の様なものや、十字架を抱くハートなどが刻まれていて、更に「ROC AR B… DRE AR GRIO SE EVELOH AR VIRIONES BAOAVEL… R I 」「 OBBIIE: BRISBVILAR… FROIK…AL」、更に1786年、1787年という二つの西暦表記などが書かれています。
解読できた人には2,000ユーロ
プルガステル=ダウラ村は、この文字を解読するためのコンテスト「Mystère Champollion(神秘のシャンポリオン※ )」を開き、優勝した人には報奨金として2,000ユーロを支払うとしています。
※ジャン=フランソワ・シャンポリオン(Jean-François Champollion):ロゼッタストーンを解読した、フランスの古代エジプト学研究者
コンテスト開始3日で、ベルギーのブリュッセル(Bruxelles)やイギリスのリバプール(Liverpool)など世界各地から1,000通を超えるメールが寄せられているとのことです。
神秘のプルガステル=ダウラのロゼッタストーン。皆さんもこのコンテストに参加されてみてはいかがでしょうか。
コンテストは11月30日(土)まで
問い合わせ先:veronique.martin@mairie-plougastel.fr
執筆:Daisuke