8日(火)、フランス南部のリゾート地カンヌ(Cannes)で、今年で第71回目を迎えるカンヌ国際映画祭(通称:Festival de Cannes 2018)が、19日(土)までの12日間の予定で華々しく開幕しました。
どんな映画祭?
カンヌ国際映画祭(Festival International du Film de Cannes)は1946年から毎年5月にフランス南部のリゾート地カンヌで開催される、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭と並ぶ、世界三大映画祭の一つです。(1948年と1950年は財政難により中止)
ファシストの介入を受けて政治色が強まったヴェネツィア国際映画祭に対抗するために、フランス政府の教育美術省のジャン・ゼイ(Jean Zay)によって設立されました。1939年に開催される予定でしたが、第二次世界大戦が勃発した為、第一回は終戦後の1946年となりました。
現在、世界で最も有名な国際映画祭の一つとして、映画関係者にとってカンヌ国際映画祭のレッドカーペットを歩くことは、大きなステータスとなっています。
日本人も多く受賞している映画祭
日本人監督が最高賞のパルム・ドール(Palme d’Or 金の棕櫚※)やグランプリなど、数多くの賞を受賞するなど、日本人にとっても馴染みの深い映画祭です。※棕櫚:しゅろ ヤシの木の意
これまでに、衣笠貞之助監督(1954年「地獄門」)、黒澤明監督(1980年「影武者」)、今村昌平監督(1983年「楢山節考」、1997年「うなぎ」)が、日本人監督としてパルム・ドールを受賞しています。
また、大島渚監督の「愛のコリーダ」が1976年の監督習慣部門に出品され、その過激な性描写が大きな議論を呼んで注目されました。1979年には「愛の亡霊」で監督賞を受賞、「戦場のメリークリスマス」は1983年のパルム・ドール最有力候補と注目されましたが、惜しくも受賞を逃しました。武士の同性愛を描いた「御法度」でも2000年に出品されるなど、カンヌ国際映画祭の常連となっています。
この他には、北野武監督や是枝裕和監督が、カンヌ国際映画祭で才能を見出され、世界的に知られる存在となっています。
アメリカのアカデミー賞との違いは?
アメリカのアカデミー賞は、アメリカの健全な映画文化発展を目的として、活躍した監督、俳優、スタッフ等の功績をたたえる為の賞で、前年度に公開された作品が対象となります。
一方、カンヌ映画祭を始めとするその他の大きな国際映画祭は、新作映画が対象となっているため、未公開の作品が出品されます。また、カンヌ国際映画祭は、世界三大映画祭としては唯一、映画のマーケットが同時におこなわれるため、多くのバイヤーが映画を買い付けに集まる、映画の最も大きな市場となっています。
今回の注目作は?
公式選出のコンペティション部門には、21作品がノミネートされています。その内、是枝監督の「万引き家族」、濱口竜介監督の「寝ても覚めても」が日本人監督作品としてノミネートされています。
是枝裕和監督「万引き家族」公式予告動画
濱口竜介監督「寝ても覚めても」公式予告動画
この他にも、村上春樹さんの「納屋を焼く」が原作のイ・チャンドン(LEE Chang-Dong)監督の「Burning」も注目作の一つです。
イ・チャンドン監督「Burning」公式予告動画
セキュリティが強化されています
映画祭開催期間中は、セキュリティが強化され、一部の施設や道路が閉鎖されています。
映画祭がおこなわれている会場付近では、空港と同じようにX線による手荷物チェックがおこなわれ、会場に入るまでにはいくつかのセキュリティチェックが行われます。また、近隣の空港やモナコのヘリポートなどは映画祭期間中は監視が強化され、飛行が一部制限されています。
さあ、今年のパルム・ドールは一体どの作品に輝くのでしょうか。結果がわかる来週の土曜日が待ちきれません。
カンヌ国際映画祭公式ホームページは→こちら←
執筆:Daisuke