16日(火)、エマニュエル・マクロン(Emanuel Macron)大統領は、15日(月)夜に起こったノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Paris)の大火災を受け、国民に向けたテレビ演説で「我々は大聖堂を更に美しく再建し、私はそれを5年以内に完成させたい」と述べました。
我々は大聖堂を更に美しく再建する
15日夜に起こった大火災で、大聖堂の屋根のほぼ全てと尖塔(せんとう)が焼け落ちたことを受け、マクロン大統領は国民に向けテレビで演説を行い、「ノートルダム大聖堂の火災は私に、我々の歴史は決して止まらないこと、乗り越えなければならない試練がいつもあるということ、我々が不滅のことも達成できると信じていることを、思い出させた」と冒頭で述べ、フランス国民の「苦悩」と「希望」を分かち合っていることを表明しました。
今後5年以内に再建を望む
また、マクロン大統領は、「我々は大聖堂を更に美しく再建するだろう、そして、私は今後5年以内に完成させたい」と述べ、ノートルダム大聖堂の再建への思いを語りました。
再建には少なくとも数十年はかかる見通し
マクロン大統領が5年以内という早急な再建を希望している一方で、専門家たちは再建には長い年月が必要だと指摘しています。
1176年に建設が開始されて以来およそ840年の歴史を誇る、フランス東部のストラスブール(Strasbourg)の大聖堂の修復を手掛けてきたルーヴル・ノートルダム財団(la Fondation de l’Oeuvre Notre-Dame)のエリック・フィッシェ(Eric Fischer)理事は、「被害はかなりの規模なので、ノートルダム大聖堂の再建には今後数十年かかる」とインタビューに答えています。
寄付は既に887億円を超える
ノートルダム大聖堂再建に向け、既に各方面から多額の寄付金が寄せられています。
グッチ(GUCCI)やイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)、バレンシアガ(Balenciaga)などを抱えるグループ企業ケリング(KERING)は、1億ユーロ(およそ126億円/1ユーロ:126円)の寄付を表明しました。
次いで、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)やケンゾー(KENZO)、ディオール(Dior)などを傘下に置くグループ企業、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH Moët Hennessy-Louis Vuitton)と、その取締役兼CEOであるベルナール・アルノー(Bernard Arnault)氏の家族が2億ユーロ(およそ253億円)の寄付を表明しました。
また、フランスに本拠地を置く多国籍企業のトタル(Total)が1億ユーロの寄付を、世界最大の化粧品メーカーのロレアル(L’Oréal)の創業者一族のベタンクール(Bettencourt)家が2億ユーロの寄付を、そして行政機関なども寄付を表明していて、寄付の総額は既におよそ7億ユーロ(およそ887億円)に達しています。
プーチン大統領も支援を表明
国家間レベルでの支援も広がり、ロシアのウラジミール・プーチン(Vladimir Putin/Владимир Путин)大統領は、哀悼の意を表しただけではなく、「文化遺産修復の経験豊富なロシア最高のエキスパート」を派遣することを申し出ました。
大火災から一日、民間レベルでも支援の声が上がっていて、ノートルダム大聖堂再建へ向け新たな一歩を踏み出そうとしています。
執筆:Daisuke