黄ベストによる破壊から5カ月、凱旋門の修復が終了

2019.05.08

8日(水)、本日行われる第74回ヨーロッパ戦勝記念日(Le 8 mai 1945/Jour de la Victoire en Europe)の式典に向け、昨年の12月1日の黄色いベスト運動(Gilets jaunes)で内部を壊滅的に破壊された凱旋門(Arc de triomphe)の修復が無事に終了したと発表がありました。

 

12月の黄色いベスト運動

12月1日に行われた黄色いベスト運動では、シャンゼリゼ大通り(Avenue des Champs-Élysées)や凱旋門(Arc de triomphe)付近などで、暴徒化した一部の参加者が周辺の店舗や駐車していた車両に火を放つなど、破壊行為が行われ、およそ1億3000万円を超える甚大な被害が出ました。

標的になった凱旋門

凱旋門は、内部の展示品や石膏像などが激しく破壊され、外壁や内部の階段は落書きで覆われました。

発表によると、電気設備や照明の修復、石膏像の修復、売店の修理などで、被害額はおよそ120万ユーロ(およそ1億4800万円/1ユーロ:123円計算)に上ったということです。

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ヨーロッパ戦勝記念日式典に間に合わせた修復

12月以降、6名の修復師の手によって、被害にあった「祖国の守護神像(Génie de la Patrie/別名La Marseillaise)」などの石膏像が、ヨーロッパ戦勝記念日に向け急ピッチで修復作業が続けられてきましたが、ヨーロッパ戦勝記念日を前に、全ての石膏像の修復が無事に終了した、と発表されました。

非常に困難を極めた祖国の守護神像の修復

凱旋門の内部すべてで修理、修復が必要でしたが、その中で特に困難を極めたのが1938年に作成された石膏像「祖国の守護神像」で、凱旋門に設置された直後に黄色いベスト運動の暴徒によってばらばらに破壊されました。

修復師の一人、アニェス・ル・ブデック(Agnès Le Boudec)氏は「祖国の守護神像は復元されたので、来場者はありのままの姿を見ることが出来るだろう。これまでのいきさつを知らない人は、その本来の美しさを見ることが出来る」と述べています。

凱旋門内部に飾られているギヨーム・デュビュッフ(Guillaume Dubufe)の絵画「ヴィクトル・ユーゴの『崇拝』(L’Apothéose de Victor Hugo)」などのいくつかの作品は昨日の時点ではまだ修復は完成していませんでしたが、本日の記念式典に合わせて修復が進められています。

この復元された美術品の数々が、今後もその姿を留めていられるように祈るばかりです。

執筆:Daisuke

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