燃料税引き上げに対するデモが暴徒化 シャンゼリゼ大通り周辺が甚大な被害

2018.12.03
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12月1日(土)、パリの中心部で、政府が計画している燃料税引き上げに対する数千人規模のデモ(Manifestation de Gilets Jaunes)が新たに行われ、シャンゼリゼ大通り(Avenue des Champs-Élysées)や凱旋門(Arc de triomphe)付近などでは、暴徒化した一部の参加者が周辺の店舗や駐車していた車両などに火を放つなど、破壊行為が行われ、甚大な被害が出ています。被害額はおよそ1億3000万円を超えるとみられています。

 

燃料税引き上げに対するデモ

今回の燃料税引き上げに対するデモは、参加者が黄色いベスト(Gilet jaune)を着用しているため、Manifestation de Gilets Jaunes(黄色いベスト運動)と呼ばれています。

11月14日(水)にエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が燃料税の引き上げを発表したことを受け、毎週末フランス各地でこの黄色いベスト運動が行われていて、道路の封鎖や商店の営業停止など、日常生活に大きな影響を及ぼしています。

 

13万6000人が参加

3回目となる、1日に行われたデモでは、フランス全土で13万6000人が参加しました。

11月17日に行われたデモでは28万2000人が、24日のデモには16万6000人(当初の発表では約10万6000人でしたが、その後の報道で修正)が参加し、デモの参加者は回を追うごとに減少してきている一方、より過激化してきています。

パリでは暴徒化

1日のデモでは、パリでは数千人が参加しましたが、参加者の一部が暴徒化し、駐車中の車両数十台や周辺の商店から略奪、ホテルや住宅に対して火を放つなどし、治安部隊との衝突が起こりました。警察は催涙ガスで応戦し、周辺は一時放火による煙と催涙ガスが立ち込めたため、戦場のような光景が広がりました。

この暴動で、130名以上が負傷し、最終的に400名以上が逮捕されました。負傷者の内一名は、デモの参加者がルーブル美術館(Le Musée du Louvre)に隣接するチュイルリー公園(Jardin des Tuileries)の鉄製の大きな扉を倒した際に下敷きになり、重体となっています。

警察車両からライフルが盗まれる

検察は、今回の暴動に便乗して、パリ16区のイエナ(Iéna)駅周辺で、警察車両からHK G36アサルトライフル(自動小銃)一丁が盗まれたことを確認した、と発表しました。このHK G36アサルトライフルは、2015年11月13日に起きたパリ同時多発テロで使用されたものと同型です。

現時点では、このライフルに銃弾が装填されていたかどうかは明らかにされていませんが、依然として盗まれたライフルの行方は分かっていません。

 

被害額はおよそ1億3000万円に上ると試算

パリ市は、前回までと今回の暴動による被害の総額は100万ユーロ(およそ1億2900万円、1ユーロ:129円計算)以上に上るとみられると発表しました。

凱旋門は壊滅的な被害

凱旋門を管理する国立歴史的建造物センター(Centre des Monument Nationaux)代表のフィリップ・ベラヴァル(Philippe Bélaval)氏は、フィガロ(Le Figaro)紙に対し、被害額は数十万ユーロ(およそ数千万円)から100万ユーロ(およそ1億2900万円)に上ると述べました。

凱旋門は、外壁に落書きをされただけではなく、内部の展示品や石膏像などが破壊、土産品が強奪され、内部の階段は落書きで覆われているということです。

監視カメラの映像では、およそ10名が凱旋門の内部に侵入し破壊などを行っていたとみられ、当局は残されたDNAや報道のビデオなどから犯人の特定を急いでいます。

 

凱旋門の落書きには「Les gilets jaunes triompheront(黄色いベストが勝利するだろう)」「Fin de régime(政権の終結)」「Renverser la bourgeoisie(ブルジョワを逆転する)」という言葉が見られます。

凱旋門はしばらくの間閉鎖され、現在公開再開の見通しは立っていません。

マクロン大統領はフィリップ首相にデモ代表者と協議するよう指示

マクロン大統領は、今回の暴動を受け、エドゥアール・フィリップ(Édouard Philippe)首相に対して、デモの代表者や各政党の党首を招集して協議を開くことを指示しました。

非常事態宣言は現時点では出ていませんが、今後も情勢が不安定な状況が続くとみられることから、クリストフ・カスタネ―ル(Christophe Castaner)内相に対して治安部隊がいつでも出動できる態勢をとるよう指示を出しました。

 

市民はどう見ているのか

これらの過激な破壊行為に対してパリ市民は、マクロン大統領に対する抗議には一定の理解を示しつつも、デモに便乗した暴徒に関しては冷ややかな反応を示しています。

シャンゼリゼ大通り付近では店舗の営業が出来ず、また道路などの公共施設の復旧には莫大な税金が投入されることから、今回の暴動がパリだけでなくフランスの経済の大きな足かせとなることは避けらません。

在仏日本大使館も、一連のデモに対して注意するよう在仏邦人にたいして呼びかけています。
フランスに滞在中、渡仏予定のある方は身の安全の確保につとめ、最新の情報を入手するように心がけてください。

執筆:Daisuke

 

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