政府、暴力的な生徒の親への補助金を打ち切りへ

2019.01.10

9日(水)、深刻化する生徒による校内暴力を受け、政府は暴力行為をした生徒の親へのアロカシオン(allocation/生活補助金制度)の支給を打ち切る、もしくは削減する計画である、と現地メディアが一斉に報じました。

 

深刻化する校内暴力

現在、フランスでは生徒同士、もしくは生徒による教師への暴力行為が後を絶たず、社会問題化しています。

高校で起きたモデルガンによる脅迫事件

昨年10月18日(木)、パリ郊外南東部のヴァル=ド=マルヌ(Val-de-Marne)県、クレテイユ(Créteil)市のブランリ―高校(lycée Branly)で、授業を行っていた女性教師が、男子生徒(事件当時15歳)からモデルガンで脅迫されるという事件が起こりました。

遅刻してきた学生を教師が欠席として扱ったため、生徒はモデルガンを教師に突き付け「出席にしろよ」と強要しました。教師が訴えたため事件が発覚し、生徒はその後、父親に付き添われて警察に出頭しましたが、取り調べでは「脅迫するつもりはなく、ふざけて行った」と供述しています。

当時の様子は、この生徒の友人とみられる別の生徒によって撮影されていて、SNS上に投稿された映像は瞬く間にフランス中に拡散され、大きな衝撃を与えました。

現在審議が行われていて、銃器使用(モデルガンであっても本物と同じ様に取り扱った場合は同等の処罰を受ける)などの罪で最大5年の禁固刑が科せられる可能性があります。銃を向けた生徒と、映像を録画していた生徒は、共にこの高校を退学処分になっています。

繰り返される暴力事件

モデルガン事件からわずか1カ月後の昨年11月、同じ高校で、授業の邪魔をしていた生徒(18歳)に対し、教師が教室を出ていくよう指示したところ、生徒は教師を大声で罵った後、何度も突き飛ばしました。

教師が訴えたため、生徒は公共サービスに従事する者への暴力、暴言の容疑で警察に拘束されました。生徒は容疑を認めているとのことです。

 

生活補助金打ち切りへ

昨年10月のモデルガン事件を受け、政府は、こうした暴力的な行為をする生徒の親に対する、アロカシオンと呼ばれる生活補助手当の打ち切り、もしくは削減する案を打ち出しました。

アロカシオンは国から支給される補助金制度で、住宅手当、失業手当、家族手当など様々な種類があり、各手当の金額は、収入や家族構成、住宅の間取り等によって決定されます。

本来、この打ち切り案は12月中旬にジャン=ミシェル・ブランケール(Jean-Michel Blanquer)国民教育・高等教育・研究大臣によって発表される予定でしたが、11月より続いている黄色いベスト運動(Manifestation des Gilets Jaunes)によって、先延ばしにされてきました。

政府内には慎重派も

今回のこの案には、政府内にも慎重に議論すべきとの声も多く、いきなり補助金を打ち切らず事前に警告を出すなどの措置をとるべきだとの案も出ています。

また、このような暴力行為を行う子供を抱える家庭は、金銭的にゆとりがない場合も多く、アロカシオンを打ち切った場合に、新たな問題が発生することも予想できます。

果たして、アロカシオン打ち切り措置が、暴力行為を抑止する力になるのか、今後の動向が注目されます。

執筆:Daisuke

 

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