黄色いベスト運動、参加者が暴徒化 キオスクなどが激しく燃やされる

2019.03.18

16日(土)、18週目を迎えた黄色いベスト運動(Manifestation / Mouvement des Gilets jaunes) で、参加者の一部が暴徒化し、パリのシャンゼリゼ大通り(Avenue des Champs-Élysées)沿いにある、高級ブティックや銀行などが激しく破壊され、一部の店舗では放火や略奪行為が行われるなど、極めて深刻な被害が出ました。

 

黄色いベスト運動が始まって4カ月

政府への抗議の為に2018年11月17日から毎週末行われている黄色いベスト運動は、回を重ねるごとに参加者数が減少し、ここ最近では大きな衝突も見られませんでした。

しかし、黄色いベスト運動の主催者の一人、エリック・ドゥルエ(Éric Drouet)氏は、3月16日の黄色いベスト運動では、以前のような大規模なデモを行うことをSNS(ソーシャルネットワークサービス)や動画投稿サイトYou Tubeなどで呼びかけ、当日はフランス全土でおよそ32,300人が黄色いベスト運動に参加しました。

デモの原点回帰を

この日はフランス政府へ二酸化炭素排出量削減を求める45,000人規模のデモや、アルジェリアのアブデルアジズ・ブーテフリカ(Abdelaziz Bouteflika)大統領の即退陣を求める大規模なデモも同時に行われていました。

16日は、11月17日に始まった黄色いベスト運動からちょうど4カ月にあたり、また、マクロン大統領が進めてきた全国討論会の最終日に当たり、11月17日に行われたような大規模なデモが行われ、「デモの原点回帰」の姿勢が見られました。

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高級店が狙われたパリ

フランス国内の黄色いベスト運動の中で、最も大勢のおよそ10,000人の参加者が集まったパリでは、シャンゼリゼ大通りで大規模なデモが行われ、デモの参加者およそ1,500人が暴徒化し、高級ブティックや銀行、キオスクなどを破壊、放火、略奪などが行われました。

写真は左から、破壊された銀行ATM、放火された老舗の高級カフェ「フーケ(FOUQUET’S)」、ガラスを破壊されたマカロンで有名な「ラデュレ(Ladurée)」

  

裕福層、資本主義を象徴する高級店が対象に

今回のデモの破壊行為で特に目立ったのは、シャンゼリゼ大通りに立ち並ぶ高級ブティックや銀行など、裕福層や資本主義を象徴する施設への破壊行為です。

 

市民の多くは今回の破壊行為に対して「行き過ぎた行為」と捉えていますが、一方で「富裕層ではない人の車を放火、破壊しているのではなく、お金があるところが対象になっているのだから問題ない」と破壊行為を支持する声も聞かれます。

本当に裕福層だけがターゲットだったのか

しかし今回のデモでは、銀行や高級ブティックだけではなく、新聞や飲料、お土産などを販売しているシャンゼリゼ大通り沿いの多くのキオスクやカフェなども破壊、放火されていて、「裕福層・資本主義の象徴」だけがターゲットではなかったことは、想像に難くありません。


写真は左から、破壊されたカフェの囲い、放火されたキオスク①、放火されたキオスク②

  

 

240名以上が逮捕

今回の暴動で、警察は略奪や放火の容疑で、およそ240人を拘束しました。また、警察の発表では、デモの参加者42人、警官17人、消防士1人が負傷したとのことです。

今回の暴動を受け、休暇中でスキーをしていたエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は急遽ヘリでパリへ戻り、内務省の危機対策会議に出席し、「国を破壊し、市民の命を脅かす行為が行われている。断固たる決定を下し、二度とこのようなことが起こらないようにする」と発表しました。

また、マクロン大統領は、シャンゼリゼ大通りでのデモ行為を禁止する意向であることも述べました。このような措置が黄色いベスト運動の根本的な解決策になるかは疑問が残り、この先も黄色いベスト運動が収束するかは不透明なままです。

執筆:Daisuke

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