9月19日(木)、フランス警察当局は、パリ市内や周辺の観光地で観光客相手に違法に販売されている土産品の取り締まりを行い、中国人卸業者など9名を摘発し、エッフェル塔(La tour Eiffel)のキーホルダーや置物などおよそ20トンを押収した、と発表しました。
観光客に人気の「ミニエッフェル塔」
パリの観光地の土産店では、ほぼどこでも目にすることができる金属製のミニサイズのエッフェル塔は、手軽なお土産として観光客に人気です。
小さな物で3㎝程度、大きなものでは50㎝や1mほどあるものもあり、オーソドックスなものからフランス国旗をあしらったもの、金色やピンクなどのカラフルなものまで、様々な種類があります。一番小さな物で3ユーロ(およそ390円/1ユーロ:130円計算、2018.09.24現在)前後、大きなものになると50ユーロ前後で販売されています。
巷にあふれる粗悪品
通常、美術館内や正規の土産店で販売されている、こういった「ミニエッフェル塔」は、ある程度の重さや強度があるため、強い力を加えない限り、簡単に変形してしまうことはありません。
しかし、エッフェル塔や凱旋門(L’Arc de triomphe)周辺、ルーブル美術館(Le Musée du Louvre)、モンマルトル(Montmartre)といった主要な観光地で、主にアフリカ系の移民が路上で販売している物の多くは、安物の金属で作られた粗悪なもので、購入直後に破損、変形してしまうことがあります。
違法に販売
こういったもののほとんどは、許可を得ずに違法に販売されているため、警察も観光客に対して購入しないように注意を呼び掛けています。警察によって、こうした違法販売は定期的に摘発されていますが、すぐに新たな業者が現れ、いたちごっこの状態が続いています。
中国人卸業者など9名を摘発
警察は、17日(火)と18日(水)にパリとパリ近郊のオーベルヴィリエ(Aubervilliers)市で大規模な捜査を行い、中国人卸業者3名、仲介業者4名、更に2名のアフリカ系移民の販売者の合計9名を逮捕したことを明らかにしました。
警察の対違法移民副調査官(la sous-direction de la lutte contre l’immigration irrégulière /SDLII)は、「彼らの非常に構造化された販売ネットワークを解体した」と述べ、主に路上などで販売されている粗悪なミニエッフェル塔の背後に、中国人による組織的な違法行為が行われていることを明らかにしました。
今回の捜査では、パリ郊外東部のシャラントン=ル=ポン(Charenton-le-Pont)とクリッシー(Clichy)の倉庫、パリの3つの店舗で、ダンボ―ル1000個以上、重さにして20トンを超えるミニエッフェル塔が押収されました。
警察とのいたちごっこ
警察による大規模な摘発は、定期的に行われていますが、新たな業者がすぐに表れ、警察と業者とのいたちごっこが続いているのが現状です。
2011年に行われた捜査では、今回の10倍以上の、900立方メートル、およそ270トンものミニエッフェル塔が押収され、4名の中国人業者が逮捕されています。更に、そのミニエッフェル塔の90パーセントが中国製であったことも注目されました。
こうした中国人業者による闇取引は、脱税、資金洗浄などの手口に使われていると警察は指摘しています。警察は路上販売員の摘発も行っていて、逮捕された場合、6か月の懲役と3,750ユーロ(およそ48万7500円)の罰金が課される場合があります。
執筆:Daisuke