5月13日(金)、フランスで今年最も価値の高い企業ブランドに「ルイ・ヴィトン」(Louis Vuitton)が選ばれたと、企業価値を分析するコンサル会社、ブランド・ファイナンス(Brand Finance)社が発表しました。
コロナ禍もどこ吹く風、仏企業のトップ150社【ブランド価値】13%アップ
ブランド価値の高いフランス企業トップ150社の今年の総価値は、前年比13%増、額にして482億ユーロ(約6兆465億円/1ユーロ=約134円)も上がっています。2020年に11%下げたものの、2年も続いたコロナ禍を経て「強い競争力を回復」しています。
ブランド価値を上げた企業の分野は多岐に渡っていますが、電話通信、石油、ガス、自動車やソフトドリンクなどは不振で、前年1位の電話通信会社オランジュ(Orange)はルイヴィトンにトップの座を明け渡しています。
ドイツ企業より高い、仏企業のブランド価値
ドイツ企業のうちブランド価値の高い上位150社の総価値は前年対比でわずか0.5%しか上がっていません。
フランス企業はすでに「過去数年間にわたりドイツ企業をブランド価値で凌駕しています」と説明するベルトラン・ショヴェ(Bertrand Chovet )氏によると、コロナ禍からの回復もブランド価値の高いフランス企業の方が顕著になっています。
ショヴェ氏はまた「フランス政府のコロナ禍における企業への手厚い支援も立ち直りの早さに大いに貢献している。その結果、仏企業ブランドは集中と選択を行い、イメージ刷新を図っている」と分析しています。
ドイツ、自動車産業回復の遅れ
フランス企業では、ラグジュアリーを含む衣料関係が上位ブランドに占める割合が18%と最も大きくなっており、この部門の伸びが26%となっています。
一方、ドイツでは自動車産業が占める割合が実に30%に上ります。
自動車販売はコロナ禍からの回復が遅く、ドイツの伝統的産業はコロナ禍でも「イメージを一新する」といった試みが「ほとんど見られていない」とショヴェ氏はコメントしています。
ちなみにアメリカ企業は2022年にブランド価値を20%上げており、主にテクノロジー系の企業が牽引しています。
1位のルイ・ヴィトン、【ブランド価値】50%増
LVMHグループが所有するルイ・ヴィトンは前年の4位から順位を3つ上げ(59.7%アップ)、ブランド価値が高いフランス企業トップ150社の中で1位を獲得しました。
そのブランド価値は202億ユーロ(約2兆7010億円)で、「ブランド力」はトリプルAと評価されています。
2位は前年の1位、電話通信会社のオランジュでブランド価値は162億ユーロ(約2兆1730億円)、3位は保険会社アクサ(AXA)の148億ユーロ(約1兆9861億円)となっています。
コロナで価値が上がった、「健康」と「物流」
前年2位だったトータルエネルギー(Total Energies)は順位を3位落として5位になり、一方で47位のコンテナ輸送のロジスティックス会社CMA-CGM社、77位の企業向けコールセンターのTeleperformance社、89位の 鉄道車両製造や鉄道関連総合ソリューションのアルストム(Alstom)社は、今年初めてランクインを果たしています。
とりわけコロナ禍で大幅に価値を上げたのは、サノフィ(Sanofi)、ヴァリリュクス(Varilux)社などを含む製薬業界で、全体で53%も上昇しています。
【ブランド力】でディオール1位、投資力、イメージ力、収益力
ブランド・ファイナンス社はまた、投資部門、イメージ部門、収益部門に分けて企業の「ブランド力」も測っています。
投資部門では、マーケティングの4P=Product(製品)、Price(価格)、Promotion(プロモーション、販売促進)、Place(流通)、イメージ部門では消費者、従業員、関係会社から見た企業イメージ、収益部門では売り上げと利益に基づいています。
ブランド力は企業の「無形資産」であり、企業がブランドイメージにどれだけ力を入れ、対象となる人々にどのように受け止められているかを測るものです。
100点満点の点数制になっており、50点以上でそのブランドは「価値」を生み出しますが、50点未満になるとその価値を「破壊」していることになります。
ブランド力が高いということは、競合他社よりも競争力が強く、顧客のロイヤリティーが高くなります。
2022年のブランド力ランキングでは、ディオール(Dior)が88.4ポイントで2位のルイヴィトン(87.7ポイント)をわずかに上回り1位を獲得しています。3位はフランスのテレビ会社T F1(87.6ポイント)でした。
執筆:マダム・カトウ