海外での代理母出産における親子関係を認める裁決に政府がまった

2019.10.04
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3日(木)、国民議会は、代理出産(La gestation pour autrui/GPA)が許可されている外国で生まれた子供との親子関係を認める修正案の採決をとり、賛成多数で可決されましたが、政府は採決そのものが不意に行われたものであるとして決議を取り消し、再度審議されることとなりました。

 

フランスでは厳しく禁止されている代理出産

フランスでは、代理出産は異性のカップル、同性のカップル共に1994年に制定された生命倫理法によって「人体の譲渡は不可」と、刑罰付きで厳しく禁じられています。

代理出産が認められている外国で子供を授かった場合でも、フランスで市民登録をすることも、養子縁組をすることもできず、子供は身分証明書や健康保険証を持つことが困難な状況に置かれています。

トビラ法で限定的ではあるがフランス国籍取得は可能に

このような状況を改善するため、2013年に、当時のクリスティアーヌ・トビラ(Christiane Taubira)司法大臣の名前をとって付けられたトビラ法によって、現地で作成された「依頼者を親とする」証明書があるという条件のもと、限定的に代理出産によって生まれた子供にフランス国籍が与えられています。しかし、依然として親子関係は認めらていません。

 

背景にあるメネソン一家の闘い

今回の国民議会での採決の背景には、19年前にアメリカで代理出産を受け双子を授かったメネソン(Mennesson)夫妻が、親子関係の承認を求めて長年闘ってきた歴史があります。

生まれつき子宮がなく出産をすることができなかったシルヴィ・メネソン(Sylvie Mennesson)さんと、夫のドミニク(Dominique)さんは、2000年にアメリカのカリフォルニア州で、代理出産によって双子を授かります。

現地の出生証明書をフランスの裁判所に提出し親子関係の承認を要求してきましたが、生物学的な父親であるドミニクさんは父親として認められていますが、フランスの法律では母親は「出産した者」のみとして、シルヴィさんは現在も子供との親子関係は認められていません。

欧州人権裁判所は親子関係を支持

2018年10月には、欧州人権裁判所(Cour Européenne des Droits de l’homme)がシルヴィさんの親子関係を支持すると発表しましたが、最終的にはフランスの最高裁判所の判断にゆだねられています。

また、今年5月にはパリ郊外のナンテール(Nanterre)の裁判所がフランスで初めて、シルヴィさんを「意図の母(Mère d’intention)」として親子関係を認める判断をしています。

今日4日(金)、フランスの最高裁判所に当たる破毀院(Cour de cassation)が、最終的に親子関係を認めるか否かの判決を下す予定で、判決の行方に注目が集まっています。

 

国民議会で再度審議される代理出産

今回の、代理出産によって生まれた子供と親の親子関係を認める修正案は、共和国前進(La République En Marche!/LREM)の議員などが中心となって提出され、多くの議員が賛成票を投じました。

しかし、政府はこの法案が提出されていたことを把握しておらず、不意な採決だったとして、共和党(Les Républicains)やマニフ・プール・トゥス(La Manif pour tous/同性婚反対派)も賛同し、再度審議し直されることになりました。

マニフ・プール・トゥスは、6日(日)にも、生殖補助医療(La procréation médicalement assistée/PMA)に反対するデモを予定していて、今回の代理出産の法案について「父無しの生殖補助医療は、代理出産の当然の結果だ」と皮肉るツイートをしています。

代理出産に関してはフランスでも望む声が高まっていますが、一方で、カトリックの影響を受け伝統的な家庭を維持することが良いとする考えの人が依然として多いのも現状です。

執筆:Daisuke

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