フランス語学習者にとって基礎単語の一つである doux。
私たちが最初に覚えるこの言葉の意味は「甘い」ですよね。ですがこのdoux、実は「甘い」という意味のほかにもいろんな使い方があるのです。
今回は、私がフランス生活の中で「こんな意味もあるの?こんな時にも使えるの?」と驚いた doux のさまざまな表現をご紹介します。さっそく一緒に見ていきましょう!
生活の様々な場面で登場する doux!
まずは基本から。男性形では doux、女性形では douce。男性・女性名詞どちらを修飾するかによって語尾が変化します。
le vin doux (甘いワイン)
une orange douce (甘いオレンジ)
「甘い」以外の味にも
doux は「甘い」以外の味を表現するときにも使われます。
Cette soupe est un peu douce. (このスープはちょっと味が薄い)
doux には「優しい」という意味もあります。日本語でも、自然派で味が薄めのお料理を頂いたときに「優しい味」なんていいますよね。
スキンケア商品の表記にも
化粧品売り場でスキンケア商品を選んでいた時に、下のような表示を見つけました。
la peau douce(なめらかな肌)
このように、 doux は「手触りの良い・柔らかい」という意味でも使われます。私はセラムやクリームにこの表記があったら即お買い上げ。なめらかという言葉に弱いのです。
バターにも
フランス生活に必須の doux があります。それはフランスのバターのパッケージによく表記されている doux です。マイルドなバターといった意味あいですが、これはつまり減塩バター、無塩バターのことです。
一方で demi-sel と表記があるものは、適度に塩分が加えられた有塩バターです。
フランスに売られているバターのほとんどに beurre doux か beurre demi-sel のいずれかの表記があるので、ぜひ覚えておきましょう。
レシピでも
私は最近、フランスの料理サイトを見ながらお料理するのにはまっているんですが、煮込み料理代表・ビーフシチューのレシピを見ている時にも doux がありました。
cuire à feu doux (弱火で焼く、煮る)
doux には優しいとか穏やかという意味もあり、直訳すると「優しい火」なのでイメージはしやすいですね。ちなみに強火は feu vif です。
声質を表す時にも
また、心地よい優しい声を表現する時にも使えちゃうんです。
Ma professer a une voix douce. (私の先生の声は優しい。)
la voix douce (甘い声、優しい声)
ちなみに私の語学学校の先生の声は、低すぎず高すぎず、なんとも心地よい声でした(なので眠くなることもしばしば…)。
人生の表現にも!
そして、こんな使い方もできます。
Quelle douce vie ! (なんていい人生なんだ!)
いい人生だと思えるように、日々努力を続けたいですね!
副詞の doucement にもいろんな意味が
この形容詞 doux の仲間に、doucement という副詞があります。副詞には、形容詞の女性形に -ment をつけた形のものがたくさんありますね。
形容詞と同様に、この doucement もいろんな意味で使われます。一例をあげると、
Je marche doucement. (私はそっと歩く。)
Je parle doucement. (小声で話す・穏やかに話す。)
…など。街で騒ぐお子様に、お母さんが「Doucement !(静かにね!ゆっくりね!)」と言っているのもよく耳にします。
形容詞の doux は意味の基本に「甘い」というイメージをもつことができますが、doucement では「ゆったり」「優しく」といった意味合いが強くなると感じます。
ぜひ使ってみてください
基本単語の一つ doux ですが、こうして見てきたようにいろんな意味があるんですね。
一つの単語の意味を辞書で調べてそのすべてを一気に覚えるのもありですが、その方法だと私はすぐに忘れてしまいます。使う場面をイメージしながらさまざまな意味を覚えていくのもおすすめですよ。
doux もぜひ「甘い」以外の意味にも目を向けて、使ってみてくださいね。それでは、À bientôt !
執筆 YONNE