不自由な中でも楽しく過ごす…コロナ禍でのフランス生活

2021.05.10

セーヌ川 エッフェル塔

新型コロナウイルスが相変わらず話題の中心ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。フランスでも、日常会話やニュースなどでコロナ禍が話題に上らない日はありません。今回はそんなコロナ禍でのフランス生活をご紹介します。

 

厳しいロックダウン Confinement、でも「慣れ」も出て…

世界各国が「ロックダウン」と呼ばれる対応を取っていますが、定義は各国で違います。フランス語で最もその意味に近いものが confinement です。フランスでは confinement になると、生活必需品を売る店以外、レストランや文化施設も含めすべての施設が閉鎖されます。

外出は必需品の買い物や子供の送迎、離れて住む家族の世話、気分転換の運動などの例外を除いて、基本的に禁止されます。外出する際は定められた様式の外出理由書を作成し、携帯しなければなりません。もし街頭で見回り中の警官や憲兵隊に止められて外出理由書が提示できない場合は、罰金135ユーロが課せられます。

コロナ禍が本格化した2020年3月から2021年5月までに合計3回の confinement が行われています。特に3回目は春に向けて陽気がよくなっていく時期と重なったこともあり、日本語の「外出禁止」を聞いて想像するのとは全く違う状況が繰り広げられています。太陽が大好きなフランス人のこと、買い物のついでとか気分転換の運動の一環という理由をつけて、週末の晴れた公園や広場にはいつもと変わらず人で溢れています

ワインは生活必需品?衣料は?花は?

「生活必需品を売る店」の定義にもフランス人の国民性が出ています。毎回 confinement が決まると、どこまでを生活必需品として認めるかが議論になります。明らかに必需品である食品を扱うスーパーやパン屋さんなどの営業はどの confinement でも許可されましたが、微妙な立ち位置の業種も多々あります。

たとえば1回目の confinement の際は、アルコールを飲まない人には必需品ではないワイン屋さんについて最後の最後まで議論され、最終的には営業が許可されました。直近の3回目では、心理的な気晴らしに必要ということで植物を扱う花屋や、家での文化活動に必須であるとして本屋の営業が許可されました。

「衣食住」という言葉が根付く日本だと、花や本よりも先に服じゃないかという意見が出てきそうですが、フランスでは子供服を扱う店を除き、衣料品店は営業が認められていません。Confinement にあたって生活に必須のものは何かという議論、国民性が表れていると言えるのではないでしょうか。

フランス カフェの看板

フランス人のユーモアを感じるカフェのボード。「お持ち帰りコーヒー1.5ユーロ、店内で飲むなら135ユーロ」。レストランは閉鎖中なので店内で飲食すると135ユーロの罰金がかかりますよ、という意味です。(執筆者撮影)

 

都会の高級ホテルでバカンスも…Staycation

バカンスと太陽が大好きな国民性のフランス人にとって、特にパリのような都市部の小さなアパートに閉じ込められるのは耐えられない…ということで、1回目の confinement 開始時には、都会を脱出する人たちで各地のターミナル駅は大混雑しました。

それでも、都会の小さなアパート以外に行くところのない人もたくさんいます。2回目、3回目と不自由なロックダウン生活にも皆さん慣れてきたとはいえ、やはり週末の気分転換やバカンスには行きたい。そこで今ひそかに人気を集めているのが Staycation という気分転換

端的にいうと、普段生活している都会に stay しながら vacation を楽しもうじゃないか、ということです。これに着目したのがホテル業界。観光需要が激減しているなか、安い特別な料金プランを用意しています。

私も先日パリのホテルで staycation してみました。4つ星ホテルのデラックスルームとサウナを1時間貸し切りにできて、バーでカクテル飲み放題・朝食付きで2人で200ユーロでした。通常ならシングルルームの素泊まりくらいの額です。

自宅から徒歩圏内なので、ホテルから出れば見慣れた風景ではありますが、普段は泊まれないようなホテルで週末を過ごすと旅行に来たような気分になり、良い気分転換になりました。

普段は富裕層の旅行客でにぎわうパリの Hotel Lutecia や Mandarin Oriental などの5つ星ホテルも参入し、絶対的には安いとは言えないものの、普段の高い料金とは比べ物にならないような価格のプランを売り出しています。この観光業界の臨機応変な対応は、観光大国のフランスだからこそできることなのかもしれません。

 

名詞 COVID-19 の性は? フランスでも分かれる見解

ここでフランス語の話題をひとつ。日本人がフランス語を学習するにあたってネックになりやすい名詞の性別は、毎年 Académie Française が会議を開いて決定しています。新しい言葉の性別を決めるわけですが、去年突如出てきたバズワード「COVID」の性別はどちらなんでしょうか。

病気を意味する maladie が女性なので COVID も女性というのが Académie Française の見解で、ニュースや行政機関は La COVID で統一されています。

ただ私の周りでは le COVID だと思っているフランス人も多くいます。Covid を le virus(ウイルス)と見るなら男性名詞であるべきだろう、という意見です。また COVID は Corona Virus Disease という英語が語源だから、外来語は男性名詞が多いという慣例をもって男性名詞だと考える人もいます。

中には「分かれば良いからどちらでもいい」と言う人もいます。相変わらず名詞の性別に苦しめられている日本人の私からすると、「苦労して覚えているのに、どちらでもいいなんて…」と心の中で思ってしまいます。

「外出禁止」とは言いつつも、ピクニックの定番・サンマルタン運河は晴れるとこの通り。(執筆者撮影)

パリ セーヌ川

不自由な中でも生活を楽しむ

世界各国でコロナが猛威を振るい、誰もが不自由な生活を強いられていますが、そんななかでもフランス人はやはりフランス人らしく生活を楽しんでいます。なにはともあれ、このパンデミックの早期終焉を祈っています。

執筆 Takashi

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