パンはフランス人の食事には欠かせないもの。フランスではパン屋さん Boulangerie の定休日が重ならないよう決められており、365日いつでも(たとえバカンス期間中であっても!)どこかしらのお店でパンを買えるようになっています。
そしてフランスで一番食べられているパンといえば、バゲット。パン文化が根づいたフランスでは、このバゲットを余すところなく楽しむための工夫があります。それは、実は私たちもよく知っているもの。今回は、知っていると役に立つ「バゲットに関する豆知識」をご紹介です。
Croûton にして美味しくいただく
フランスで一番食べられているパン、バゲットは家庭によっては朝昼晩といただきます。そんなバゲットから生まれたものが Croûton クルトンです。これは皆さんご存知の通り、パンをサイコロ状に切って油で炒めたり揚げたりしたもの。コーンスープなどに入っていると、カリカリっとした食感もあって美味しいですよね。
昔はフランスの各家庭で、お母さんが焼いたお手製のパンを食卓に並べていました。ただ、さすがに毎日パンを焼くことはできないので、一度にたくさん焼いて長期間保存していたそう。そのため、時間が経ってカチコチに硬くなってしまうこともしばしば。
そんな風味の落ちてしまったパン(特にバゲットの両端の硬い部分)を美味しく食べる方法が色々考えられました。そのうちの一つが、スープや煮込み汁などに入れてふやかして食べるというもの。スープに入れれば硬いパンも柔らかくなりますし、カリカリとした食感もアクセントになりますもんね。
このCroûtonという言葉、「バゲットの両端の硬い部分や、パンの硬いカケラ」を意味するフランス語からきています。実際にフランス人の友人に聞いたところ、フランス人にとっての Croûton は今もなおバゲットの両端を使ったものを指すとのこと。
ちなみに食パン Pain de mie の耳は、フランス語で la croûte 。こちらもラスクなどにして美味しくいただきます。
Pain perdu にして美味しくいただく
Pain perdu。直訳すると「失われたパン」。これはいったい何を指すと思いますか?
正解はフレンチトースト。名前に「フレンチ」とつくのでフランス発祥と思われがちですが、実はアメリカ発祥だと言われています。これを作った店の主人の名前が「ジョーゼフ・フレンチ」であることに由来するのだとか(諸説ありです)。
フランスではフレンチトーストは Pain perdu と言います。バゲットは日が経つと両端だけでなく全体が硬くなり、ふわふわ感も損なわれてしまいます。そんな食べられなくなったパンを復活させる、という意味をこめての「Pain perdu」という表現なのですね。
日本では食パンのフレンチトーストがお馴染みですが、卵液に浸して焼けばパンの種類を問わずなんでも Pain perdu になるとのこと。ただフランスでいう Pain perdu は、一般的にバゲットを使ったものを指します。
ただ、ここで注意です
日本では朝食にフレンチトーストが登場するととっても贅沢な気持ちになりますが、フランスではあくまで Pain perdu =「失われたパン」。基本的にはおもてなしにはあまり向かないイメージがあるのでご注意を。
…とはいえ、私は個人的にはフレンチトーストが大好き。私にとって Pain perdu はご馳走です。
硬くならないように…バゲットの保存方法は?
ほんの数日で、パン切り包丁でも切れないほどに硬くなってしまうバゲット。もちろん焼きたてをその日のうちに食べ切るのがベストですが、2日程度であれば、ラップで包んだり密閉袋にいれておくだけで驚くほど柔らさを保つことができます。ただ2日以上たつと、今度はしっとりとしすぎたりカビが生えやすくなるリスクも。
長期間保存する場合は冷凍もオススメです。食べやすい大きさにあらかじめカットし、重ならないように密閉袋に入れて冷凍庫へ。食べる時には自然解凍するのがオススメですよ。
毎日食べるバゲット。長く美味しくいただく方法はまだまだありそう。それに、食べ物を大切にするフランス人のライフスタイルも知ることができた気がします。
執筆 YONNE