7月21日(火)、フランス国鉄(SNCF)は、本日よりパリのリヨン駅(Gare de Lyon)にて乗客の体温測定を試験的に行います。フランス各地でクラスターが発生するなど、新型コロナウイルスの新たな感染者が増加し始めたこともあり、 感染拡大第二波に備えます。
1ヶ月の試行、希望する乗客のみ体温測定
リヨン駅のローコストTGV(Train à Grande Vitesse:高速列車) Inouiのホームには、サーマルカメラが列車の乗車ドア手前の五か所に設置され、希望する乗客の体温測定を行います。
乗客の検温は非接触で行われ、カメラの前に4秒間静止するだけで完了します。測定された体温が表示されることはなく、測定情報も保存されません。
フランス国鉄によると、今回の試行で乗車前の体温測定を導入した場合の「人の流れ」を観察し、遅延など運行に支障をきたさないかを検証します。
38.5度以上でも旅行の延期やキャンセルの強制なし
測定値が38.5度以上となった場合には、係員が乗客にサージカルマスクとジェルを渡し、車内でも《ソーシャルディスタンス》を取るよう依頼します。
また、旅行の延期やキャンセルを無料で出来ることも案内されますが、今回のテスト期間ではこれらを乗客に強制することはできません。
新型コロナ第二波に備え、乗客に協力呼びかけ
テストはリヨン駅に続き、8月5日にはパリの東駅(Gare de l’Est)、モンパルナス駅(Gare Montparnasse)でも開始され、バカンスシーズンの8月いっぱい行われます。
フランス国鉄のTGVおよび長距離列車部門、ヴォワイヤージュSNCF(Voyage SNCF)のアラン・クラコヴィッチ(Alain Krakovitch)部長によると、テストが終わったからといって、駅での体温測定が今後必ずしも導入されるわけではありませんが、フランスで最も利用客の多いパリの大きな駅でテストを実施することで、万が一政府から体温測定の要請があった場合に備えることができます。
クラコヴィッチ氏は、「第二波が到来した場合に、体温測定など感染拡大を阻止するための準備が出来ていないことの方がおかしい」と語り、さらに「すでに一部の国では鉄道での体温測定が行われており、フランスでも空港ではすでにこういった措置が取られている」と、テストの正当性を強調しています。
フランス国鉄は、今回のテスト期間中より多くの人に協力してもらえるよう呼びかけを行っています。
執筆:マダム・カトウ