パリの地下鉄18歳未満無料 パリ市民頼みの消費 購買力向上狙う

2020.07.24

パリ メトロ入口

7月24日(金)、今月の地方選で再選したパリ市長アンヌ・イダルゴ氏の公約の一つである、未成年(フランスの成年は18歳)のパリ地下鉄定期料金の無料化が、9月の新年度より施行されます。家計への負担減で購買力を向上させ、コロナ禍で落ち込んだ経済の活性化に個人消費を促すことが大きな目的です。

 

パリ市に年間2760万ユーロの負担

9月1日より、パリ市内に住む4歳から17歳までの未成年の定期代が無料になります。総費用は年間2760万ユーロ(約33億3000万円/1ユーロ=約123円)で、全額パリ市が負担します。

パリ市は、「子供の頃から公共交通機関を利用する習慣を身につけてもらうことで、環境への配慮を強化する」と、主な動機に環境問題をあげています。

 

中高生一人につき、年間350ユーロ家計の節約

現在、未成年のパリ地下鉄定期代は4歳〜18歳未満で年間350ユーロ(約43,000円)ですが、11歳未満の料金は9月から年間24ユーロ(約2,950円)と、大幅値下げが決定していました。

しかしながら、イダルゴ市長は「未成年の定期代の無料化」を公約の一つに掲げていたことから、一気に無料の運びとなりました。

今回の無料化は、パリ市内で職業訓練を受ける26歳未満の若者も対象になります。

また、14歳〜17歳の未成年は、パリ市内のあちこちで見られる《Velib》(ヴェリブ)と呼ばれる自転車シェアリングサービスについても最高で350ユーロぶんまで無料で利用することができます。

定期は一旦購入してもらい、申請後約5〜6週間で返金されます。

 

コロナ禍で売上減、海外観光客不在でパリ市民頼み

今回のメトロ定期代の無料化は、パリ市が交通費の家計への負担を減らすことで、パリ市民の購買力を向上させることが大きな目的です。

コロナ禍でフランス経済全体が大幅に落ち込んでいますが、その中でもパリ市は観光業への依存度が高く、ロックダウン解除後も深刻な状況が続いています。

観光地のカフェ、レストラン悲鳴

ロックダウン以前のパリ市内のレストランやカフェの顧客は、約5割を観光客が占めていたことから、パリの中心地では飲食店の売上減が続いています。ちなみに解除後2ヶ月経った今でも再開していないカフェやレストランは、全体の約10%にものぼります。

以前から地元の常連客が多かった店の売上はなんとか回復傾向にありますが、ルーブル美術館(Musée du Louvre)やエッフェル塔(Tour Effel)、シャンゼリゼ大通り(Avenue des Champs-Élysées)にある、観光客頼みの店への打撃は大きく、平日で解除前の10%程度、週末でも30%程度の売り上げしかない店もあります。

また、パリ市民がバカンスで不在になる7、8月の売り上げは、本来海外からの観光客で補われていました。そのため、観光地の飲食店では夏休みを取るウエイターの代わりに短期で派遣のウエイターを雇っていましたが、今年はこういった雇用にも悪影響が出ています。

執筆:マダム・カトウ

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