12月8日(火)、ロックダウン緩和が予定されていた今月15日が1週間後に迫る中、フランスの1日の感染者数は高止まりしており、予想に反して目標値の5,000人に到達するのは「まず不可能」と発表されています。クリスマス休暇を家族と共に過ごせるかが、現在フランス国民の最大の関心事であるだけに、政府の対応が注目されます。
1日の感染者10,000人で高止まり、目標の5,000人以下に程遠く
11月24日、マクロン大統領は1日の感染者数が平均して5,000人以下になること、及び集中治療室の入院患者数が3,000人以下になることを条件に、12月15日からフランス国内の移動制限が解除されると発表していました。
しかしながら、現在の1日の感染者は依然として1万人を超えており、あと1週間で平均5,000人以下に抑えるのはほぼ不可能という説が濃厚になってきました。
昨日発表された新規感染者は3,411人ですが、週末で検査数が大幅に少ないことから感染が減少に転じたとは言えず、さらに死者は366人と前日日曜日の175人から倍増しています。
現在フランス全国で26,333人の患者が入院していますが、そのうち1,200人余りは昨日の新規入院患者に当たります。
また、集中治療室に新たに入院した重症患者数は3,188人と、前日の3210人から微減していますが、このうち新規入院患者は前日101人の倍となる203人と大幅増になっており、予断を許さない状況が続いています。
今後数日間の数値次第も、クリスマス休暇中の移動制限は困難
フランス保健局長ジェローム・サロモン(Jérôme Salomon)氏は、毎日行う定例発表で目標の5,000人以下にすることは「非常に困難である」と発表し、「感染がピーク(1日の感染者が約8万人)に達し一旦減少に向かったが、過去1週間で数値が減少せず平坦域にとどまっている」ことから、今後再度「感染拡大に向かう可能性がある」と懸念しています。
注目される「15日からの国内移動制限解除はどうなるか?」の質問には、「現在、いろいろな要素から精査中」で、「今後数日間の数値次第」と慎重に答えています。
政府は、数値が目標値に届かなかった場合のロックダウン緩和見直しを迫られることが予想されますが、政府関係者の話では、今更クリスマス休暇中の移動制限は「言語道断」で、移動できる地域を制限するといった追加措置は「コントロールが不可能」になることから他の「妥協案」を検討している模様です。
クリスマスや年末のパーティで1月に第三波、専門家ら警告
感染拡大が止まらないアメリカでは、感謝祭の休暇中の移動で感染者数最多記録を更新していることから、クリスマス休暇での家族や友人との集まりによる感染が最も警戒されるべきという意見が飛び交っています。
先日カステックス首相(Jean Castex)が「クリスマスの集まりは大人6人まで、子供はカウントせず」と発表したことに対し、感染症の専門家は「子供も含めて6人以内にすべき」や、「クリスマス休暇での国民大移動は致命的」といった警戒論が主流になっています。
一方で、家庭内での感染阻止は「政府の指示を待たずに、フランス人の良識に任せるべき」という意見も出ています。
映画館、美術館、劇場の再開に暗雲
クリスマスの移動制限解除を引っ込めることには消極的な政府ですが、15日からの規制緩和予定に含まれていた、映画館、博物館など人が集まる施設の再開は延期される可能性が濃厚になってきました。
執筆:マダム・カトウ