４月１日（月）、本日より一部の公共料金が改定され、新たな料金が適用されます。今回の料金改定は、フランスの家庭にどのような影響を与えるのでしょうか。
公共料金の改定
本日より新たな公共料金が適用されます。今回の改定は、ガス料金の引き下げ、社会保障手当の増額など、より家計に優しいもののように見えますが、実際はどうなのでしょうか。
社会保障手当の増額
４月１日から、基本退職年金、障害給付金および労働災害給付金、そして大家族手当、児童扶養手当（一人親への支援金）、幼児給付金、障害児教育手当、新学期手当などの全ての家族手当が0.3パーセント増額されます。しかし、今回の増額は、昨年度の増額率１パーセントを下回っているだけではなく、昨年からの物価上昇率の1.8パーセントも大きく下回っていて、物価の上昇率に比べると、十分な増額とは言えません。
積極的連帯手当（Revenu de solidarité active）と呼ばれる生活保護費の支払い額は、昨年は一人当たり550.93ユーロ（およそ68,600円／１ユーロ：124円計算）だったのに対し、今年は559.74ユーロ（およそ69,700円）に増額されます。
国民皆保険の上限の引き上げ
相互補完ユニバーサルヘルスケア（la couverture maladie universelle complémentaire）と呼ばれる国民皆保険制度の適用上限額が、一人当たり年間8,810ユーロ（およそ110万円）から、8,951ユーロ（およそ112万円）に引き上げられます。
これには医療費の自己負担金、入院費用、メガネの購入上限額の超過料金、義歯、補聴器、杖などの特定の医療機器の補助金が含まれています。
ガス料金の値下げ
エネルギー規制委員会（ la Commission de régulation de l’énergie／CRE）の発表では、調理用ガスはマイナス0.7パーセント、調理および給湯用のガスはマイナス1.3パーセント、暖炉など暖房設備用のガスはマイナス2.2パーセント、家庭用小型ボイラーを備えた家の場合マイナス2.5パーセント、ガス料金が引き下げられます。
医療費の還付金の増額
歯科医療では、門歯や切歯、小臼歯などの目に見える歯の治療費は、ジルコニア（耐熱性セラミック）による被せものを使用する場合、歯１つにつき480ユーロ（およそ59,800円）を超えることはできなくなります。
一方で、金属とセラミックのブリッジ（冠橋義歯）は、最大で1,465ユーロ（およそ18,300円）かかりますが、2021年、および2022年に補助対象の歯科医療行為のリストが作成され、いずれは健康保険などにより、全額払い戻しの対象となる予定です。
また、がん患者の治療におけるかつら、ヘアピースは全額払い戻しの対象となる予定です。
これまでは、がん患者がかつらやヘアピースを利用する場合、125ユーロ（およそ15,600円）の補助を受けていましたが、今後は、合成繊維でできた人口毛髪による「クラス１」のかつらの価格は、一つ350ユーロ（およそ43,600円）に設定され、その全額が払い戻しの対象となります。
また、少なくとも30パーセントの天然の毛髪を含む「クラス２」のかつらの価格は、一つの上限が700ユーロ（およそ87,300円）に設定され、その内250ユーロ（およそ31,200円）が払い戻されます。700ユーロを超えるものは払い戻しの対象外です。
車修理、再利用部品の使用の選択肢を客へ告知する義務
自動車の修理工は、修理の際、再利用された部品を使って修理することが出来る選択肢を顧客に告知する義務が課せられます。
これにより、客は新品か再利用品かを選ぶことができ、再利用品を選択した場合、修理費を30パーセントから50パーセント節約することができます。この場合、事前に新品と再利用品の価格を顧客に伝えておく必要があります。
立ち退き手続きも再開
冬の間、家賃やガス・水道料金を支払っていなかった住民に対して、人道的な立場から11月１日以降見送られていた立ち退きやガスや水道の停止の手続きが、本日より再開されます。
アベ・ピエール財団（la Fondation Abbé Pierre）によると、2017年には15,550人が政府の介入によって住居を退去させられました。
今回の料金改定は、家計にどう響いてくるのでしょうか。
執筆：Daisuke
