10月31日(火)、フランス政府は、2015年のパリ同時多発テロ以降出されていた非常事態宣言を、2年ぶりに解除しました。
非常事態宣言は、2015年11月13日の死者130名・負傷者300名以上を出したパリ同時多発テロを受けて発令され、その後ニースやイギリスのマンチェスターで起こったテロなど、ヨーロッパ各地でテロ行為が相次いだことから、これまでに期限が6回延長されてきました。
本日11月1日(水)からは、より厳格化された反テロ法案が交付されます。この反テロ法案は、非常事態宣言下でのみ許可されていた、裁判所の許可なしでの家宅捜索や、個人を在住地域に限定できる権限が、判事ではなく政府の判断で出来る様になります。
また、モスクや教会、寺院などの宗教施設で、指導者が極端な思想を説いていると判断された場合には、政府はその宗教施設を閉鎖することができます。さらに、過激思想を持つと判断された場合、個人の移動を在住地域に限定し、一日一度警察への出頭を義務付けることなど、多くのことが裁判所を通さずに政府の判断で出来る様になります。
エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、「この新法によって、私たちは非常に高いレベルの安全が保障され、緊急事態から脱することができる」と述べました。
この新法案は国民の半数以上から支持される一方、人権団体などからは「非常事態宣言の状態が常態化され、人権抑圧を引き起こす恐れがある」と反発の声が上がっています。
安全保障と人権の尊重の両立が今後の大きな課題です。
執筆:Daisuke