6月11日(金)、フランスの経済学者や社会学者、法律学者などからなる、不平等を調査する非営利団体「Observatoire d’Inégalité」は、フランスで最も収入が高い職業を発表しました。
給与所得者、1位はパイロット
今回発表されたランキングは、給与所得者、つまり正社員と自営業および公務員に分け、各職業で収入が最も高い上位10%の平均月収で比較されています。
給与所得者部門では、税引き前の手取りが月7000ユーロ(約85万円/1ユーロ=約121円)のパイロットが1位で、2位には社員扱いの医師(フランスの医師はほとんどが自営業)(6,400ユーロ=約77万円)、続いて銀行や保険業の上級管理職、4位エンジニア・技術系管理職、5位管理部門(会計、総務)上級管理職、などが続きます。
さらに、6位営業系上級管理職、7位研究職、8位広告系上級管理職、9位建設業管理職ですが、10位のIT技師でも月収4,800ユーロ(約58万円)です。
ちなみに、給与データの入手は困難なことから、今回の発表は2012年のデータをもとに算出されています。
公務員は民間より格差が少ない
公務員における所得上位10%の税引き前手取り平均給与は月3,260ユーロ(約39万円)と民間よりも少ないですが、上位1%では6,410ユーロ(約78万円)にのぼります。
公務員の中でも最も給与が高いのは、海外の大使館や領事館で働く管理系の上級官僚で、税引き前の月給は13,800ユーロ(約167万円)、続いて10,500ユーロ(約127万円)の知事、大使、国営会社の社長など、政府の意思決定に関わるポストとなります。
自営業部門、1位は会計士や弁護士
自営業で最も月収が高い上位10%の平均収入は、会計士、弁護士、公証人が最も高く、税引き前で月19,000ユーロ(約230万円)となり、給与所得者を大きく引き離しています。続いて、2位が医師、歯科医、3位は薬局の経営者となります。
自営業部門 月収が最も高い上位10%の平均収入 ランキング
- 会計士、弁護士、公証人 18,940ユーロ(約230万円)
- 医師、歯科医 17,740(約217万円)
- 薬局のオーナー 13,430(約162万円)
- ファイナンス、保険 13,410 (約162万円)
- 獣医 10,350 (約125万円)
- 経営コンサルタント 9,420 (約114万円)
- 問屋業 8,270 (約100万円)
- 設計士、エンジニア 8,110 (約98万円)
- 不動産業 7,930 (約96万円)
- 広告業 7,800 (約94万円)
非給与所得者平均 8,330 (約100万円)
フランスで最も収入の高い給与所得者1%、サッカー選手、トレーダー
フランス国立統計経済研究所、インセ(Institut national de la statistique et des études économiques : INSEE)は、2017年のフランスで最も給与所得の高い人物上位1000人を調査し、その結果をこの5月末に発表しています。
それによると、上位1000人の税引き前平均月収は、89,530ユーロ(約1,100万円)で、うち45%は会社社長、取締役などが占めており、29%は大きな会計事務所の会計士です。また、大口取引を行う金融トレーダーは全体の11%にも及びます。
フランスで最も高収入の1000人のうちほとんどは50歳以上の男性で、パリまたはパリ近郊のオ=ドゥ=セーヌ県(Hauts-de-Seine)で勤務しています。
女性の割合はわずか9%で、高収入層でも性別による格差が大きく広がっています。
ちなみに、フランスにおける民間企業で働く女性の平均収入は、男性より16%も下回っています。
執筆:マダム・カトウ