3月29日(金)、パリ1区のルーヴル美術館(Musée du Louvre)にあるピラミッド(La Pyramide)は建設30周年を迎えます。
それに伴い、ルーヴル美術館では様々な記念イベントが開催されます。
パリ1区のシンボル、ピラミッドの歴史
第21代大統領であったフランソワ・ミッテラン氏(François Mitterrand, Président de la république française 1981-1995)は1989年9月、ルーヴル美術館の拡張を提案しました。
ミッテラン氏は文化への造詣が深かったことで有名です。任期中、国民教育・文化大臣であったジャック・ラング氏(Jack Lang, Ministre de l’Éducation nationale et de la Culture)とともに「音楽の日(Fête de la musique)」を国民的イベントにするなど、文化的に大きく貢献しました。
省庁の敷地だったルーヴル
当時のルーヴル美術館は現在の約2分の1の面積(敷地全体で約3万5000平方メートル、現在は約7万平方メートル)であり、一部は財務省(le ministère des Finances)が管理していました。
現在、ルーヴル美術館の入り口はピラミッドの地下部分にあります。しかし30年前まで、美術館の地下部分は存在せず、ピラミッドのある広場は省庁の従業員が駐車場として用いていました。そして、美術館には一般用の入り口がありませんでした。
そこでミッテラン氏は美術館を地下にまで拡張し、駐車場部分を一般向けの広場として開放する計画を立てます。工事による環境への心配から、拡張計画には批判の声もありました。
しかし当時パリ市長であったジャック・シラク氏(Jacques Chirac, Maire de Paris 1977-1995)からの財政援助を受け、ミッテラン氏はこの壮大な計画を敢行しました。
ピラミッドは「透明かつ、出来るだけ薄い素材で」
ミッテラン氏の希望で、ピラミッドの材料は慎重に選定されました。
エジプト・ギザにあるピラミッドと同様の構成にするため、軽く色味の良いサンゴバン社(Saint-Gobain)のガラスが採用されました。また、枠組の金属フレームは総重量わずか95トンで全てのガラス部分を支えています。
透明に保つために
ガラスの透明度をいかに保つか、ここにはインド系アメリカ人清掃員の貢献がありました。なんと、彼らは「アクロバティックな作業(acrobatiques)」に慣れていると考えられたからです。
1980年代までは月に一度の頻度で清掃作業が行われていましたが、残念ながら(?)現在はロボットが清掃を行っているようです。
30周年を記念して
ルーヴルのピラミッドに隠された歴史は、29日より約1年間、様々なイベントの中で公開されます。
特に6月3日までは「ピラミッド30周年展示会(”Exposition La Pyramide a 30 ans”)」、夏休み期間にはオーケストラの演奏会、10月以降にはレオナルド・ダ・ヴィンチ(Léonard de Vinci)にちなんだ特別展が開かれます。
この機会にパリのシンボルを訪れてみてはいかがでしょうか?
執筆あお